逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「だとしたら、大切な人をこうして見送るのって……寂しいようでいて、たくさんの希望があるよね」

 私の言葉に、蓮さんは静かに微笑んで頷いた。

 不意に肩を抱かれ、彼を見上げる。今日の空のように澄んだ瞳が、まっすぐに私を見つめていた。

 何も言わないまま、蓮さんの顔が少しずつ近づいてくる。あ、と思った瞬間、彼のスマホが震えた。

 彼は小さくため息をついてスマホを取り出し、画面を確認する。それから照れたような笑みを浮かべ、周りを見回してから私に画面を見せた。

「理央からだよ」

『展望デッキでイチャついていますね。バッチリ見えてます(笑)』

 メッセージを見た瞬間、吹き出しそうになる。それから蓮さんと顔を見合わせて、堪えきれずふたりで笑った。

「帰ろうか」蓮さんが柔らかく微笑みながらそう言い、私は頷いた。

 最後にもう一度、空を見上げた。透き通る青空に、飛行機がゆっくりと消えていくのが見える。その姿を追いながら、私も何だか遠くへ行けるような気がした。

 どこから見ているのかわからない理央さんに届くように、私は大きく手を振る。

 蓮さんがそっと私の背に手を添え、私たちは展望デッキを後にした。背中の手の温もりが、言葉よりもたくさんの気持ちを伝えてくれるようだった。
< 344 / 590 >

この作品をシェア

pagetop