逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「祐介くんとは、仲良くなりたいと思ってるよ。……そのうち、僕の弟になる人だしね」

 突然の言葉に、心臓の音が速くなる。恥ずかしさをごまかすように、私は慌てて目を伏せた。

 恋愛ドラマの脚本をいくら書いていても、いざ自分が当事者になると、何も言葉が出てこない。……そうだ、こういう場面用のセリフ集を作って、持ち歩くのはどうだろう。

「薫、何か面白いことを考えているときの顔をしてるね。今、何を考えてるの?」

 私の頬を優しく撫でながら、蓮さんが楽しそうに尋ねた。

「こういうときに気の利いたセリフがすぐに出てくるように、単語帳を作ろうかと思って。『ワンフレーズで覚えやすい! ロマンチック返答集』みたいなの」

 蓮さんは小さく吹き出して、「まったく、君は……」と言いながら、顔をそっと近づけた。

「そんなのいらないよ。照れてる薫も見たいから」

 私はドキドキしながら、ゆっくりと目を閉じる。唇が触れそうになったその瞬間──

「ああー、気持ちよかったアアア! 蓮さん、風呂までなんかハイスペなんすね! 俺、シャワー浴びながら、ハリウッド映画に出ている気分になりました!」

 廊下から祐介の脳天気な声が響いて、私たちは慌てて離れる。

 それからふたりで目を見合わせて……同時に深い溜め息をついた。
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