逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「私も楽しかったです。夢だった公園のボートにも乗れましたし」

 知里さんは再びテーブルに視線を落とし、細い指先でコーヒーカップの縁をなぞりながら、静かに息をついた。

「それで……須賀くんのこと、どう思った?」

 本題だ。どう答えるかは、もう決めてあった。

「正直にお答えします。まず、彼は……春木賢一朗ではないと思うので、春木作品の映像化については、別を当たったほうがいいと思います。でも、人間的な魅力のある方だと思うので、もし知里さんが彼とお付き合いするのなら、全力で応援しますよ」

 私は明るく答えた。須賀さんは、知里さんに本当に惹かれているようだったし、館詰から戻ったらすべてを話すと言っていた。もうすぐ知里さんの夢が次々と叶うはずだ──そう思うと、私までワクワクしてくる。

 知里さんは、何も言わずに私の顔を見つめた。さっきよりも少し表情が和らいだように見える。彼女に何があったのかわからないけれど、元気を出してほしいと思いながら、私は言葉を続けた。

「知里さん、私の誕生日の夜に『いいことがたくさん起こるといいね』って言ってくれましたよね。きっと知里さんにも、これから素敵なことが次々と起こるんじゃないかなって、そんな気がするんです」
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