逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「……蓮さんに寄りかかったら、自分の足で立てなくなりそうで、怖かった……」

「薫くん、それは僕の恋人のことも見くびりすぎです」

 低く優しい声に、私はゆっくりと顔を上げた。蓮さんの瞳が、まっすぐに私を見つめ返す。

「僕の恋人は、泣いた分だけ強くなれる人だよ。たとえ誰かに寄りかかったとしても、また自分の力で歩き出せる。だから、君が疲れたときは僕が思い切り甘やかしたい。……それは、恋人である僕にしかできないことだから」

 蓮さんの唇がそっと耳に触れ、甘く囁いた。

「だから……たまには祐介くんじゃなくて、僕を頼って」

 その言葉は、蜂蜜を溶かしたミルクティーのように、私の胸に甘く染み込んでいった。冷えた指先で温かいカップを包んだときのようなぬくもりが、心のすみずみまで満ちていく。

 声にならない嗚咽が漏れて……抑えようとしても、涙があとからあとから溢れてくる。私は震える手で彼の背にしがみついた。

 蓮さんの腕は、さらに強く私を抱きしめてくれた。
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