逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 祐介の言葉に、私は微笑んだ。

「私たちのことは大丈夫。心配しないで」

 祐介は安心したように頷いて、窓の外に視線を向ける。ちょうどタクシーが到着したようだった

「シェイクスピアが言ってた。『世界は舞台であり、人は皆、役者にすぎない』って。──さて、俺もひと芝居うって、作家としての最後の幕を下ろしてくるよ」

 そう言いながら、彼はスーツに合わせたダークキャメルのステンカラーコートを羽織り、ひとつ息をついた。そして、ためらいなく玄関へと向かう。

 私も、その背中を追いかけた。

「じゃ、姉ちゃん。また後で」

 祐介はそう言い、タクシーへ向かおうと歩き出した。

 その背中を見送るつもりだったのに、ふと、その横顔にわずかな寂しさが滲んでいるのが見えて……気づけば、私は口を開いていた。

「祐介」

 彼が足を止め、ゆっくりと振り返る。

「私は──ずっと、春木賢一朗の一番のファンなの」

 その言葉に、彼の目がわずかに見開かれる。

「春木先生の責任の取り方を見届けたい。──私も一緒に行きます」
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