逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 ピコンと、蓮さんのスマホの通知音が鳴った。蓮さんは画面を覗き込む。

 その隙に、私はどう言えば蓮さんに「それはグッドアイデアではない」ということが分かってもらえるか考えていた。

 もう正直に打ち明けちゃう? 実はあれを書いたのは私なのテヘペロって言っちゃう?

 あれこれ逡巡している私にさらに追い打ちをかけるように、スマホから顔を上げた蓮さんは、さらに衝撃的なことを言った。

「さっき、薫から問題なさそうと聞いて、すぐに浅川さんにメールを送ったんだ。社内ではもう、安斎さんを起用ということで話がついていたからね。彼女がすぐに安斎さんと倉本先生に連絡してくれて、2人からもぜひという返事をもらったそうだ」

 ……なんてこと。

 ああでも、そうだった。この業界の人達、こういう話を進めるのがめちゃくちゃ早いんだった……。

 だけど、倉本先生は事務所の名前が売れるから快諾するのは分かるとして、航はなんでOKするかな。ああ、航に「シナリオ書けるのかよ」って言ってやりたい。

 嫌な予感を抱えながらも、私はどうすることもできずに、空になった湯呑み茶碗の中を眺めていた。
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