逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 私は息継ぎも忘れて頷いた。普段の穏やかな彼からは想像もつかない、熱っぽさが伝わってくる。

「その最初の作品を、まだそれほど有名ではなく、けれどしっかりとした実力を持った脚本家に任せたいと思っている。既存の作品とは、一線を画したものをつくることができる脚本家。どの業界にも、新陳代謝は必要だからね」

 私は首がもぎれるくらい頷く。異議なしだ。

「外資が入っていることで予算は潤沢だから、新人の脚本家でも大御所と同じくらいか、それ以上のギャランティを払うことができる。そこで……」

「安斎航に依頼しようと思ったのね」

 蓮さんは頷いた。

 だとしたら、マズい。航の脚本を読ませてもらったことは何度もあるが、なんとなく既視感のある物語が多かったのだ。

 まだ同期3人の仲が良かった頃、本音でお互いのシナリオを評価する機会が何度もあった。私や友記子が航のシナリオの弱点を指摘すると、航はいつも怒って拗ねた。

 そんな航に大役を任せて、もし航が期待に応えられなかったら……。

 採用した蓮さんの責任問題になる可能性もある。
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