逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
 普段の飄々(ひょうひょう)とした祐介とはあまりにも違うせいか、知里さんと松本くんは戸惑いを隠せないようだった。

 沈黙が続いたあと、知里さんが口を開いた。いつもの自信に満ちた強気な彼女とは違い、その声はわずかに震えている。

「……こんなこと、考えたくもなかったけど。祐介くん、あなたの口から聞かせて」

 祐介は「はい」と短く答え、背筋を伸ばしたまま、静かに知里さんへと体を向けた。

「あなたは、春木賢一朗と話をつけて、彼の小説をダークレイス社に渡したの?」

「……結果的に、そうなってしまいました。申し訳ありません」

 もう一度、静かに、深く頭を下げる。

 知里さんの目に、今度は怒りではなく、深い悲しみが浮かんだ。

「……祐介くん、信じたくないからもう一度聞くわ。あなたが、オーディション通過を条件に、春木賢一朗を丸め込んで、彼の小説をダークレイス社に渡した。……本当に、そうなの?」

「……間違いありません」

「実は、譲原さんから連絡をもらっていたの。映像化について、春木先生が、うちとの契約を前向きに検討したいと話していると。だけど、数日後にまた連絡が来て、その話は一旦保留にされた。……それは、ダークレイスの映像化が決まったからなの?」

「申し訳、ありません……その通りです」
< 563 / 590 >

この作品をシェア

pagetop