逆プロポーズではじまる交際0日婚! 〜狙うのは脚本家としての成功とXXX
「シナリオの進行はどう? 『きみの愛だけは失くせない』第9話」

「あと少しで書き上がります。あとは一度、チェックしてから提出しますね。明日18時の締め切りより早く出せると思います」

 先生はコーヒーに口をつけながら少し考えて、とても良いことを思いついたように明るく言った。

「それなら、明日の朝イチでお願い」

 予想外の言葉だったので、私は一瞬、目を見開いたまま凍りついた。

 私は先生の言葉を反すうした。聞き間違い? 明後日の朝イチでいいわよの間違い?

 いや、先生は確かに明日の朝イチと言った。笑顔で前倒しを要求するのが、先生のスタイルだ……。

「でも、先生、明日の18時ということだったので、そのつもりで作業を進めてたのですが」

 先生の顔から一瞬で笑顔が消え、能面のような無表情になった。

 私を見下ろすような視線を向け、大きなため息をつく。先生が不機嫌をアピールするときのポーズだ。

「……椿井さんに説明する義務はないんだけどさぁ」

 氷のような表情でいて、その目には苛立ちの感情が溢れている。
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