ぶーってよばないで!
スイーツと私
【教室】
キーンコーンカーンコーン
今日は、一時間目の英語で授業は終わり。その後は、それぞれが個人レッスンをする日だよ。
下校時刻は一二時。レッスンが終わっていれば、この時間に帰宅することが許されている。
もちろん!瑛里のように、遊んで帰ることを推奨しているわけではなくて、あくまで!早く帰って練習をしましょうねということ。
私の最後のレッスンは、一四時に終わる。
急げば、シュークリームを買うことができるかもしれない⁉︎
【レッスン室A】
「真瑠璃さん、今日もとても良く弾けておりましたわよ。その調子でね、その調子で。大変よろしゅうございました。また来週も頑張りましょう。」
「ありがとうございました‼︎」
本宮梓先生は、私のピアノの先生。私が高校に入った時から、ピアノを習っている。とても上品で清楚な本宮先生は、キラキラとしたオーラを纏っている。先生のレッスンを受けた後、私のピアノはまるで生まれ変わったように上達している。心もポカポカするし、今なら瑛里のことだって許せるような気さえする。本宮先生は、私の憧れ‼︎
教室の時計に目をやる。
十四時ちょうど。
まだ、間に合うかもしれない!
【ミニヨン】
カラン〜カラン〜
「いらっしゃいませ。」
お店の中は、シュークリームの甘い香りでいっぱい。
私の心は、幸せで満たされる。
ここは、スワンの形をしたスワンシュークリームが購入できるお店。長い首に、可憐な羽、一つ一つとても手が込んでいて、職人技を感じる。スワンの凜とした姿は食べるのが勿体無いほど。パパもママも真子も、ここのシュークリームが大好き!
私は慌ててショーケースに目を向ける。
四羽のスワンちゃんがいる。やった!間に合った!
「スワンシュークリーム、四羽ください!」
「ありがとうございます!」
やっと出会えたスワンちゃんに、思わず笑みがこぼれる。
ちゃんと、『真瑠璃のグルメ日記』に記録しておかなくちゃ。
それで…
隆也に見てもらわないと!
【軽井沢・ル・アモール・ドゥ・ラ・レーヌ】
「素敵なお店!」
パパが案内してくれたお店は、おとぎの国から飛び出してきたみたいな外観。
薔薇でできたアーチをくぐると、素敵なお庭と洋館が目の前に現れた。
こっこれは、日本ではない。まるで、マリーアントワネットが愛したプチ・トリアノン。イギリスの田舎を思わせる建物もお庭に点在している。
扉を開けると、辺り一面ふんわり甘い香りで包まれた。なんて幸せなの。
お店のショーケースには、宝石のようなケーキたちがずらりと並んでいる。
「Maison de BonBon《メゾンドボンボン》 編集長・華待哲太《はなまちてった》と申します。本日は、早くにありがとうございます。」
パパがいつも以上にカッコよく見える。
さすが、私の自慢のパパ!
「いらっしゃいませ。ル・アモール・ドゥ・ラ・レーヌの志門大輝《しもんだいき》と申します。」
お店の厨房から、スラリと背の高い男性が現れた。腰に巻いた黒のエプロンがとても似合う。。イケメンパティシエとは、まさに志門さんのこと。
お店の大きなガラスのショーケースには、ところ狭しケーキがならんでいる!
宝石のようなケーキ。
どれも丁寧に愛情たっぷり作られたのが伝わっててくる。
今日の目的は、今話題のアフタヌーンティーを取材すること。
私は『真瑠璃のグルメ日記』を片手に、アフタヌーンティーにつて復習する。
アフタヌーンティーの起源は、一八四〇年頃。七代目ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアがはじめたもの。当時のイギリス貴族の食生活は、一日二食‼︎一食目は、イングリッシュ・ブレックファーストと呼ばれるたっぷりの朝食。朝のんびりと起きて、朝兼昼としていただくものだった。そして、二食目は、なんと夜の二〇時頃から始まる夕食。夜の社交場としての意味合いもあった夕食は、オペラ鑑賞や観劇を終えてから始まるため、ブレックファーストからとても時間が空いていたんだ。アンナ•マリアも、その時間を『空腹で気が滅入る』と話し、メイドに紅茶とクランペットをこっそり寝室へ運ばせて、一人で食べていた。 クランペットとは、イギリスのパンケーキの一種で、小麦粉と酵母で作ったもの。甘いものもあるし塩味のものもある。見た目はイングリッシュマフィンに似ているけれど、外はカリッと中はふんわりとした、イングリッシュマフィンでもない、パンケーキでもない、そんな食べ物。
この時間帯は『魔の時間帯』と言って、身体を締め付けるコルセットの息苦しさと、空腹で失神する貴婦人がたえなかった。その後、社交的なアンナ・マリアが親しい女友達を自室に招くようになり、アフタヌーンティーは徐々に、専用茶室でいただく社交の場として変化していった。アンナ・マリアがいなければ、アフタヌーンティーがこの世に存在していなかったのかな⁉︎アンナ・マリア行動力に感謝でいっぱい!ありがとうございます!
アフタヌーンティーの歴史を頭で整理して、二階のサロンへ向かう。
サロンへと続く階段も、とても素敵。この空間に居られるだけで幸せ!
「パパ!素敵なお店に連れてきてくれてありがとう!」
帰りの車に揺られながら、私は幸せがとまらない。
「真瑠にそう言ってもらえると、パパも嬉しいよ!」
ハンドルを握る、パパの嬉しそうな横顔。ママも真子もとても幸せそう。
こうして、パパプレゼンツの軽井沢グルメツアーは大満足で幕を閉じた。
キーンコーンカーンコーン
今日は、一時間目の英語で授業は終わり。その後は、それぞれが個人レッスンをする日だよ。
下校時刻は一二時。レッスンが終わっていれば、この時間に帰宅することが許されている。
もちろん!瑛里のように、遊んで帰ることを推奨しているわけではなくて、あくまで!早く帰って練習をしましょうねということ。
私の最後のレッスンは、一四時に終わる。
急げば、シュークリームを買うことができるかもしれない⁉︎
【レッスン室A】
「真瑠璃さん、今日もとても良く弾けておりましたわよ。その調子でね、その調子で。大変よろしゅうございました。また来週も頑張りましょう。」
「ありがとうございました‼︎」
本宮梓先生は、私のピアノの先生。私が高校に入った時から、ピアノを習っている。とても上品で清楚な本宮先生は、キラキラとしたオーラを纏っている。先生のレッスンを受けた後、私のピアノはまるで生まれ変わったように上達している。心もポカポカするし、今なら瑛里のことだって許せるような気さえする。本宮先生は、私の憧れ‼︎
教室の時計に目をやる。
十四時ちょうど。
まだ、間に合うかもしれない!
【ミニヨン】
カラン〜カラン〜
「いらっしゃいませ。」
お店の中は、シュークリームの甘い香りでいっぱい。
私の心は、幸せで満たされる。
ここは、スワンの形をしたスワンシュークリームが購入できるお店。長い首に、可憐な羽、一つ一つとても手が込んでいて、職人技を感じる。スワンの凜とした姿は食べるのが勿体無いほど。パパもママも真子も、ここのシュークリームが大好き!
私は慌ててショーケースに目を向ける。
四羽のスワンちゃんがいる。やった!間に合った!
「スワンシュークリーム、四羽ください!」
「ありがとうございます!」
やっと出会えたスワンちゃんに、思わず笑みがこぼれる。
ちゃんと、『真瑠璃のグルメ日記』に記録しておかなくちゃ。
それで…
隆也に見てもらわないと!
【軽井沢・ル・アモール・ドゥ・ラ・レーヌ】
「素敵なお店!」
パパが案内してくれたお店は、おとぎの国から飛び出してきたみたいな外観。
薔薇でできたアーチをくぐると、素敵なお庭と洋館が目の前に現れた。
こっこれは、日本ではない。まるで、マリーアントワネットが愛したプチ・トリアノン。イギリスの田舎を思わせる建物もお庭に点在している。
扉を開けると、辺り一面ふんわり甘い香りで包まれた。なんて幸せなの。
お店のショーケースには、宝石のようなケーキたちがずらりと並んでいる。
「Maison de BonBon《メゾンドボンボン》 編集長・華待哲太《はなまちてった》と申します。本日は、早くにありがとうございます。」
パパがいつも以上にカッコよく見える。
さすが、私の自慢のパパ!
「いらっしゃいませ。ル・アモール・ドゥ・ラ・レーヌの志門大輝《しもんだいき》と申します。」
お店の厨房から、スラリと背の高い男性が現れた。腰に巻いた黒のエプロンがとても似合う。。イケメンパティシエとは、まさに志門さんのこと。
お店の大きなガラスのショーケースには、ところ狭しケーキがならんでいる!
宝石のようなケーキ。
どれも丁寧に愛情たっぷり作られたのが伝わっててくる。
今日の目的は、今話題のアフタヌーンティーを取材すること。
私は『真瑠璃のグルメ日記』を片手に、アフタヌーンティーにつて復習する。
アフタヌーンティーの起源は、一八四〇年頃。七代目ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアがはじめたもの。当時のイギリス貴族の食生活は、一日二食‼︎一食目は、イングリッシュ・ブレックファーストと呼ばれるたっぷりの朝食。朝のんびりと起きて、朝兼昼としていただくものだった。そして、二食目は、なんと夜の二〇時頃から始まる夕食。夜の社交場としての意味合いもあった夕食は、オペラ鑑賞や観劇を終えてから始まるため、ブレックファーストからとても時間が空いていたんだ。アンナ•マリアも、その時間を『空腹で気が滅入る』と話し、メイドに紅茶とクランペットをこっそり寝室へ運ばせて、一人で食べていた。 クランペットとは、イギリスのパンケーキの一種で、小麦粉と酵母で作ったもの。甘いものもあるし塩味のものもある。見た目はイングリッシュマフィンに似ているけれど、外はカリッと中はふんわりとした、イングリッシュマフィンでもない、パンケーキでもない、そんな食べ物。
この時間帯は『魔の時間帯』と言って、身体を締め付けるコルセットの息苦しさと、空腹で失神する貴婦人がたえなかった。その後、社交的なアンナ・マリアが親しい女友達を自室に招くようになり、アフタヌーンティーは徐々に、専用茶室でいただく社交の場として変化していった。アンナ・マリアがいなければ、アフタヌーンティーがこの世に存在していなかったのかな⁉︎アンナ・マリア行動力に感謝でいっぱい!ありがとうございます!
アフタヌーンティーの歴史を頭で整理して、二階のサロンへ向かう。
サロンへと続く階段も、とても素敵。この空間に居られるだけで幸せ!
「パパ!素敵なお店に連れてきてくれてありがとう!」
帰りの車に揺られながら、私は幸せがとまらない。
「真瑠にそう言ってもらえると、パパも嬉しいよ!」
ハンドルを握る、パパの嬉しそうな横顔。ママも真子もとても幸せそう。
こうして、パパプレゼンツの軽井沢グルメツアーは大満足で幕を閉じた。