守ってやるよ
「何…言いかけたの?」

「…なんでもない。とにかく、それは芽衣と観里が最後にした約束だろ…? 今こそ果たしたら…だいぶつかえも取れるんじゃねえの?」

「…」



観里とした最後の約束…。



だけどそれを果たしたら…観里は離れて行っちゃうんじゃないの…?



あたしはただ寒い外で涙を流してうずくまった。



頬を伝う涙が温かい。



千里が一緒にしゃがんであたしの背中をさすってくれる。



「芽衣、前に進もう。前に進むことは観里を忘れることじゃねえよ」



前に進むことは…観里を忘れることじゃない…。



そうか、そうだよね。



千里とこの何か月か一緒に過ごしてきて。



ずいぶんあたしも変わったけど、観里のことだけは忘れることはなかった。



観里はずっとあたしの心の中にいて。



観里を忘れず…前に進む。



あたしは立ち上がった。



それから雪の塊にずかずかと歩いて、それを握って千里に投げた。



「雪合戦…しよう!」

「っしゃ、やるか」



そのまましばらく2人、キャーキャー言いながら雪を投げ合った。



あたしは笑いながら泣いていて。



『芽衣』



観里のあたしを呼ぶ声と笑い声が聞こえた気がして、あたしは一瞬立ち止まって振り返った。



当たり前だけど、そこには何もない。
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