復讐殺人日記
それから徐々に太陽が上へと近づいてきて、最高気温は30度近くになっていた。
『ねぇ、さすがに熱いから図書室の中から見ない?』

暑さに耐えかねた日奈子の提案に全員がすぐに乗っかった。
学校の図書室は一般向けにも開放されていて、土日でも午後3時までなら開いている。

そこの窓辺の席からグランドはよく見えるのだ。
自分たちは涼しい場所へ移動して、汗だくになっている保人を見るのは楽しかった。

走れば走るほどスピードは落ちていき、30周を過ぎた頃には手足に力が入らないようだった。

もともと、ゲームばかりしていてそんなに体力もなかったんだろう。
50週目に突入したとき保人がコースの途中で倒れてしまった。

砂埃を上げて倒れ込む保人を見て『あ~あ、やっぱりダメだったか』と、瑞穂が残念そうに言った。

『私の勝ち! 瑞穂は全員にジュースおごりね!』

実はこのとき私と瑞穂は保人が100周走れるかどうかジュースをかけていたのだ。

もちろん私は走れない方にかけた。
瑞穂はぶぅぶぅ文句を言っていたけれど、負けは負けだから仕方ない。

『よし、じゃあジュース買いに行くか』
貴斗の言葉を合図にして、私たちは真夏日の中へと再びでて行った。
外へ出た瞬間に熱が全身に絡みついてきて思わず顔をしかめる。

倒れている保人はビクとも動かないようなので、水飲み場からバケツに水をくんでその体にぶちまけておいた。
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