復讐殺人日記
無邪気に提案したのは日奈子だった。
日奈子は目を輝かせて保人を見つめている。

『ひゃ、100周?』
『あはは。それいいね日奈子。ほら、走りなよ』

私の言葉に保人は青ざめた。
こんな真夏日にグラウンド100周なんてしたら倒れてしまう。
下手したらそれだけじゃすまないかもしれない。

『ほら、早くしろ!』

貴斗が再び保人のお尻を蹴って、保人は渋々といった様子で白線が引かれているトラックへと歩いていく。

『ちゃんと見てるから。ずるすんなよ!』
私がそう声をかけたタイミングで保人は走り出した。

トロトロとした走り方を見てすぐに貴斗が激を飛ばす。
その瞬間保人は背筋を伸ばしてしっかりとしたフォームで走りだした。

『最初からそうしろよ』
と、貴斗が隣で笑っている。
< 104 / 152 >

この作品をシェア

pagetop