妃候補なんて興味ありません!
☆☆☆

翌日、自室でリュナと共に朝食を終えたシーラは今日1日なにをしようかと思案していた。

そろそろ変装して街へ降りてみようか。

市場にあったあの生地の手触りを確かめたくてうずうずしているし、鶏肉の料理を1度でいいから食べてみたい。

でもきっとリュナが許さないだろうから、どうにかして気をそらせて、その好きに城を出るしかない。

そう思って横目でリュナを見やると、リュナはドアの前で仁王立ちをしてこちらを見ていた。

「リュナ、そんな怖い顔をしてどうしたの?」
「シーラ様のお考えはすべてお見通しです。勝手に街へ行くことは許されません」
キッパリと言い切る幼い侍女にシーラはギクリとする。

10歳で侍女としてシーラの元へやってきたときは常に不安そうな顔をしていておどおどしていたのに、4年の間に随分と大きくなったものだ。

それもこれも、破天荒なシーラと一緒にいたために必要な成長だったのだけれど、シーラはそんなこと知るよしもなかった。

「少しくらいいいじゃない? リュナも一緒にどう?」
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