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突如声をかけられてまた悲鳴を上げそうになった。
みると隣に慶太が立っている。
「慶太?」

「よぉ、なにしてるんだ?」
「お、お前こそ、なにしてるんだよ」
質問する声がうわずった。

今の今まで誰もいなかったはずの図書館内は沢山の人で賑わっている。
どれだけ静かにしていても、ささやき声や足音は聞こえてくる。

「俺は親に頼まれて本を返しにきたんだ。慎二はそれ借りるのか?」
聞かれて信じは自分が手にしている本に視線を移した。

とたんにそれが忌々しいもの、汚れているもののような気がして咄嗟に目の前にいる慶太に押し付けていた。

「どうした?」
「な、なんでもない」

キョトンとしている慶太を置いて、慎二は図書館を飛び出した。
その数秒後、バサリと音がして歩道にスーパーの袋が落下した。
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