魔術罠師と猛犬娘/~と犬魔法ete
ネクロポリス・ダンジョン地域の治安崩壊
1
魔族の拠点であるネクロポリス・ダンジョンがある周辺の地区・地域は悪影響なのか、治安崩壊した無法地帯と化していた。
ただでさえ、無法者やギャング・匪賊が流入・集結してくる上に、バックに魔族が控えている。現地の自治体や保安組織は無力なもので、村人や住民たちはやりたい放題に虐げられる。
今や「犯罪者が政府」の有様である。麻薬製造のコカ畑プランテーションで村人たちも奴隷労働と共犯にされていく。現地の組織売春どころか周辺の地域にまで遠征して、無関係な外部からまで女子供や住民たちを拉致していく始末だった。
2
「こいつらは逃げようとした! 逃亡は重罪だ!」
地域から逃げようとして捕まった若者たちが広場に集められる。何人かは捕縛時に殺されていて、生きている者たちも多くが負傷しているのだった。
村人たちは恐れて遠巻きに見守るしかない。かつてギャングに抵抗した保安官は一家皆殺しにされ、より従順で言いなりになる後任者は見て見ぬ振りしている。
今や、ギャングが支配階級のエリートだった。こうなってしまうと魔族すら関係なく、「人間の敵は人間」の古来の有様だ。
「おい、手伝いたい奴は前に出ろよ! 出世するチャンスだぞ!」
村人の何人かがフラフラと前に出る。この地域で旨みのある立場になりたければ、ギャングの手下になることが近道なのだ。
彼らによって逃亡未遂者たちはリンチとレイプで全員虐殺された。屍肉はネクロポリス・ダンジョンの魔族たちに貢納されたことは言うまでもなかった。
3
外部への遠征・略奪と拉致は日常茶飯事だったが、教会堂の村やエルフ・ドワーフの山村には手を出しかねている。冒険狩人ギルドなどの強力な自衛組織があって、暴力報復されるリスクがあるからだった。
それでも何度か誤って手を出してしまい、下手人たちが逆に殺されて送り返されてきたこともあった(樽に詰められた塩漬け肉になり上に生首が載っていた)。報復で麻薬畑に放火・焼き討ちして「全員連帯責任と見做す」と無差別殺戮までしてくる凶暴性に恐れをなして、ひとまず引き下がるしかなかった。
「奴らは話が通じねえ!」
ネクロポリス地域のギャングたちは、教会堂村周辺の冒険狩人ギルドなどの自警組織に恐怖して為す術もなかった。
そこで「哀れな避難民・逃亡者」を偽装して、スパイや破壊工作員を送り込もうと頻繁に試みている。しかし旧魔王戦役時代の猛者・経験者が多いために警戒が固いようで、「人権・博愛詐欺」すら通用しにくい。
もしこんな「防衛線」がなかったら、とっくに大規模に浸食・支配圏乗っ取り出来ていたことだろう。背後の人間の都市にまで買収やスパイ工作して切り崩しを図っており、それでずっと暗闘が続いているらしい。
結局のところ、平和や正義を担保しうるのは、敵や不正を上回る狡知と暴力あるのみなのであった。
(続き、解決編)
1
ネクロポリス地域のギャング支配下にある麻薬畑村の一つが、教会堂村グループの冒険狩人ギルド(自衛組織)から報復攻撃されたときのこと。
直接のきっかけは、ギャング匪賊の略奪部隊があちら側の村人を強盗殺人して、娘を誘拐したこと。ただし、大規模な麻薬栽培と密輸販売で、前々から睨まれていると囁かれていた。
冒険狩人ギルドと都市防衛隊の精鋭が四十名ほど。いきなり攻撃を仕掛け、武器を持っている者・手向かったギャング構成員を殺しまくったという。
「あいつら、こっちが天然物で慎ましく商売してるのに、こんな大規模に人工栽培して相手構わず売りつけやがって!
こっちゃ、人間に流通したり使って毒にならないように気をつけてるのに。子供に酒や煙草売ったらダメだってのと同じだって、わからねえのかな?」
麻薬畑を見舞わして、レサパン・ファルコンが腕組みして怒り心頭(レッサーパンダと化した獣人魔導師)。彼はレサパン商会のオーナーで、一部で魔族に天然物の麻薬や幻覚剤を売りつけたりもしているらしい。
ただ、彼なりの「商業倫理」もあるようだ。山などで天然物で採取された麻薬植物を買い取るのは、人間領域でむやみに流通させないための配慮でもあった。ゆえに人工の大規模な麻薬栽培には否定的な立場で、都市の政府や村の自治体からも「魔族用嗜好品」「医療用限定」として取り扱いの認可されている。
同じ毒物や麻薬でも、それを使う相手が魔族であれば、普通の人間よりもまだ中毒耐性があるし実害がない(最悪、魔族なら死んだりしても構わないという冷淡な判断なのか?)。
2
とりあえず、麻薬畑は火を放って焼き払った。
それから、捕虜にした村人二百人ほどを前に、クリュエルは発案する。彼は人間ながらエルフ・ドワーフの作った魔獣の荒革の鎧を愛用していることから「原人騎士」と呼ばれている。
「ディーエイチの刑でどうかと思うのだが」
「ふむ。して、ディーエイチとは?」
「十分の一のことさ」
それは古文献で古代ルーム帝国の軍隊で用いられた刑罰だ。問題行動を起こした部隊の十人に一人を、自分たちで殺して反省させる。
それで捕虜になった麻薬畑村の村人たちは、ギャング構成員などの「特に悪い奴」を二十人ほど、自分たちで袋叩きにして殺した。彼ら自身もギャングの被害者という一面があったから、拒否や遠慮する理由もない。
それから、クリュエルはもう一つ発案した。
「今後の商用作物は、タバコやコーヒーでも作ったらどうだろうか? それと山裾を開墾して小麦とトウモロコシを自給用に栽培する。灌漑設備の工事は冒険狩人ギルドで請け負うが、君ら自身も一緒に手伝ってくれ」
こうして村の支配者が変わったわけだが、搾取率の低さと治安回復に殖産興業、教育や医療も向上して「ずいぶん世の中や生活が良くなった」らしい(当事者の「解放された」村人たち曰く)。
暴力と狡知だけでは統治者として失格であり、やはり思慮と倫理観の有無は決定的だったようだ。
3
ギャングたちは、ネクロポリス・ダンジョンの魔族たちに助けを求めた。失われた貴重な支配領域を奪還して、面目と利益を回復するために。
しかし魔族たちの返事は冷たいものだった。
「だから言っただろ? あいつらにだけは喧嘩売ったら駄目だって。あのクリュエルとレッサーパンダ、魔族換算で下手な「伯爵」(中級魔王)より強いんだわ。
あいつらに旧魔王戦役で、魔族の騎士や貴族がどれだけ殺しまくられたと?」
そしてヘマをやったギャングのボスや幹部の何人かが、見せしめに「食肉」にされたそうだ。
魔族の拠点であるネクロポリス・ダンジョンがある周辺の地区・地域は悪影響なのか、治安崩壊した無法地帯と化していた。
ただでさえ、無法者やギャング・匪賊が流入・集結してくる上に、バックに魔族が控えている。現地の自治体や保安組織は無力なもので、村人や住民たちはやりたい放題に虐げられる。
今や「犯罪者が政府」の有様である。麻薬製造のコカ畑プランテーションで村人たちも奴隷労働と共犯にされていく。現地の組織売春どころか周辺の地域にまで遠征して、無関係な外部からまで女子供や住民たちを拉致していく始末だった。
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「こいつらは逃げようとした! 逃亡は重罪だ!」
地域から逃げようとして捕まった若者たちが広場に集められる。何人かは捕縛時に殺されていて、生きている者たちも多くが負傷しているのだった。
村人たちは恐れて遠巻きに見守るしかない。かつてギャングに抵抗した保安官は一家皆殺しにされ、より従順で言いなりになる後任者は見て見ぬ振りしている。
今や、ギャングが支配階級のエリートだった。こうなってしまうと魔族すら関係なく、「人間の敵は人間」の古来の有様だ。
「おい、手伝いたい奴は前に出ろよ! 出世するチャンスだぞ!」
村人の何人かがフラフラと前に出る。この地域で旨みのある立場になりたければ、ギャングの手下になることが近道なのだ。
彼らによって逃亡未遂者たちはリンチとレイプで全員虐殺された。屍肉はネクロポリス・ダンジョンの魔族たちに貢納されたことは言うまでもなかった。
3
外部への遠征・略奪と拉致は日常茶飯事だったが、教会堂の村やエルフ・ドワーフの山村には手を出しかねている。冒険狩人ギルドなどの強力な自衛組織があって、暴力報復されるリスクがあるからだった。
それでも何度か誤って手を出してしまい、下手人たちが逆に殺されて送り返されてきたこともあった(樽に詰められた塩漬け肉になり上に生首が載っていた)。報復で麻薬畑に放火・焼き討ちして「全員連帯責任と見做す」と無差別殺戮までしてくる凶暴性に恐れをなして、ひとまず引き下がるしかなかった。
「奴らは話が通じねえ!」
ネクロポリス地域のギャングたちは、教会堂村周辺の冒険狩人ギルドなどの自警組織に恐怖して為す術もなかった。
そこで「哀れな避難民・逃亡者」を偽装して、スパイや破壊工作員を送り込もうと頻繁に試みている。しかし旧魔王戦役時代の猛者・経験者が多いために警戒が固いようで、「人権・博愛詐欺」すら通用しにくい。
もしこんな「防衛線」がなかったら、とっくに大規模に浸食・支配圏乗っ取り出来ていたことだろう。背後の人間の都市にまで買収やスパイ工作して切り崩しを図っており、それでずっと暗闘が続いているらしい。
結局のところ、平和や正義を担保しうるのは、敵や不正を上回る狡知と暴力あるのみなのであった。
(続き、解決編)
1
ネクロポリス地域のギャング支配下にある麻薬畑村の一つが、教会堂村グループの冒険狩人ギルド(自衛組織)から報復攻撃されたときのこと。
直接のきっかけは、ギャング匪賊の略奪部隊があちら側の村人を強盗殺人して、娘を誘拐したこと。ただし、大規模な麻薬栽培と密輸販売で、前々から睨まれていると囁かれていた。
冒険狩人ギルドと都市防衛隊の精鋭が四十名ほど。いきなり攻撃を仕掛け、武器を持っている者・手向かったギャング構成員を殺しまくったという。
「あいつら、こっちが天然物で慎ましく商売してるのに、こんな大規模に人工栽培して相手構わず売りつけやがって!
こっちゃ、人間に流通したり使って毒にならないように気をつけてるのに。子供に酒や煙草売ったらダメだってのと同じだって、わからねえのかな?」
麻薬畑を見舞わして、レサパン・ファルコンが腕組みして怒り心頭(レッサーパンダと化した獣人魔導師)。彼はレサパン商会のオーナーで、一部で魔族に天然物の麻薬や幻覚剤を売りつけたりもしているらしい。
ただ、彼なりの「商業倫理」もあるようだ。山などで天然物で採取された麻薬植物を買い取るのは、人間領域でむやみに流通させないための配慮でもあった。ゆえに人工の大規模な麻薬栽培には否定的な立場で、都市の政府や村の自治体からも「魔族用嗜好品」「医療用限定」として取り扱いの認可されている。
同じ毒物や麻薬でも、それを使う相手が魔族であれば、普通の人間よりもまだ中毒耐性があるし実害がない(最悪、魔族なら死んだりしても構わないという冷淡な判断なのか?)。
2
とりあえず、麻薬畑は火を放って焼き払った。
それから、捕虜にした村人二百人ほどを前に、クリュエルは発案する。彼は人間ながらエルフ・ドワーフの作った魔獣の荒革の鎧を愛用していることから「原人騎士」と呼ばれている。
「ディーエイチの刑でどうかと思うのだが」
「ふむ。して、ディーエイチとは?」
「十分の一のことさ」
それは古文献で古代ルーム帝国の軍隊で用いられた刑罰だ。問題行動を起こした部隊の十人に一人を、自分たちで殺して反省させる。
それで捕虜になった麻薬畑村の村人たちは、ギャング構成員などの「特に悪い奴」を二十人ほど、自分たちで袋叩きにして殺した。彼ら自身もギャングの被害者という一面があったから、拒否や遠慮する理由もない。
それから、クリュエルはもう一つ発案した。
「今後の商用作物は、タバコやコーヒーでも作ったらどうだろうか? それと山裾を開墾して小麦とトウモロコシを自給用に栽培する。灌漑設備の工事は冒険狩人ギルドで請け負うが、君ら自身も一緒に手伝ってくれ」
こうして村の支配者が変わったわけだが、搾取率の低さと治安回復に殖産興業、教育や医療も向上して「ずいぶん世の中や生活が良くなった」らしい(当事者の「解放された」村人たち曰く)。
暴力と狡知だけでは統治者として失格であり、やはり思慮と倫理観の有無は決定的だったようだ。
3
ギャングたちは、ネクロポリス・ダンジョンの魔族たちに助けを求めた。失われた貴重な支配領域を奪還して、面目と利益を回復するために。
しかし魔族たちの返事は冷たいものだった。
「だから言っただろ? あいつらにだけは喧嘩売ったら駄目だって。あのクリュエルとレッサーパンダ、魔族換算で下手な「伯爵」(中級魔王)より強いんだわ。
あいつらに旧魔王戦役で、魔族の騎士や貴族がどれだけ殺しまくられたと?」
そしてヘマをやったギャングのボスや幹部の何人かが、見せしめに「食肉」にされたそうだ。