好きを消去する方法

「奈々《なな》に言ったっけ? 俺、彼女と別れたから」

「え? 早すぎ。まだ一ヶ月じゃん」

私は目の前で胡座をかいている男に平然とそう答えながらも、心の中に小さな喜びが芽生えてしまう。

「やっぱキツいなって」

「どういうこと?」

「うーん……」

首を捻っている男の名前は光輝《こうき》で私が密かにずっと想いを寄せている人物だ。

私たちは同じ大学に通っていて同じアウトドアサークルのメンバーなのだが、入学してからずっとただの友達だった。

そんな私と光輝の関係が、ただの友達と呼ばれるモノから変わったのは半年前だ。

そのせいで私はこうして深夜に光輝に呼ばれて、光輝の一人暮らしの部屋を訪れている。


「やっぱさー……気持ちないと無理だなって悟った」

その言葉に私の小さな胸はズキンと痛んだ。


「まだ夢香《ゆめか》のこと好きなんだ」 


夢香というのは私の親友の名前だ。


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