すべてはあの花のために③
そしていよいよ、葵の番。
『さて! 次が最後の人たちです! エントリーNo.15の方、どうぞ~』
「よし! 行ってくるね!」
「ああ、気をつけてな」
「行ってらっしゃい」
「さっさと行ってきなよ下僕」
完全に“入りきっている”葵は、振り向きながら彼らに最高の笑顔を返す。
「うん。――――ありがとっ」
そんな『笑顔の爆弾』を落とされた三人が、しばらく悶絶していたなんて、葵は知るよしもないけれど。
「ところで日向、さっき紀紗にはなんて言われたんだ」
「そうよ。アンタのあんな笑顔が拝めるなんて、絶滅危惧種並みに貴重なことなんだから」
「それはオレとキサの内緒話だから言わなーい」
ヒナタはにっと楽しそうに笑って返すだけ。
「む。気になる」
「アンタがそこまで笑えるのを、何で紀紗は知ってるのよ」
「そんなの知らないし。まあキサは、出番が少ない割に頑張ってるってとこじゃない?」
結局ヒナタの言葉の意味がわからなかった二人は、首を傾げていたけれど。そんな二人を余所に、ヒナタはポケットに忍ばせていた参加者の写真入りパンフレットを拡げていた。
「ん? どうしたんだ日向」
「何かあるの?」
二人もそのチラシを覗き込む。そして三人は口を噤んだ。
何故ならミスターコンにエントリーした最後の一人は、完全に人数合わせ感たっぷりだったから。きっと誰かに連れてこられたんだろう。地味で暗めな印象だ。
――しかしその時、会場中が轟いた。体感では、地震が起こったのかと思うほど。
「きゃあー!」
「なにあれー!」
「おいおい嘘だろー!?」
そんな会場の叫び声に、三人は慌てて袖からステージを覗き込んだ。