姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 緊張に、ゴクリとひとつ唾をのむ。
 ……やっぱり、真剣に学んでいこう。所作やマナーだけじゃなく、社交術や政治も。妻として、妃として、ジンガルドの隣に並ぶのに相応しくあるように。
 ひとり決意を新たにし、首を縦に振る。
「通例通りで進めてちょうだい」
 ジンガルドの妻になる。その覚悟を胸に、繋いだ手にキュッと力を込めて口にした。

***

「帝国全域で軒並み農作物の収穫量が上がっています」
 俺がオズモルトからそんな報告を受けたのは、フィアンナと市場をデートした翌々日のことだった。
「そうか。いい意味で予想が外れたようだな」
 今年は、年はじめの豪雨の影響で収穫量が下がると見込まれていた。専門家も交え備蓄作物の放出も検討していたのだが、どうやら杞憂に終わったようだ。
「ええ、豊作それ自体は大変喜ばしいことです。……けれど、あきらかに不自然です」
 オズモルトの台詞は、まさに俺が頭の中で考えていたことと同じだった。
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