姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 そう。クラリッサとマリッサも見た目だけはいいのだ。加えて、あのふたりは光の乙女の特徴とされる淡い金髪と紫の瞳を持ち、〝至高の華〟と称えられている。けれど、王女たちは残忍だともっぱらの評判の野獣皇帝に嫁ぐのを全力拒否。そして、私に白羽の矢が立ったというわけか。
 すべてを察した私は、呆れ果てて言葉も出なかった。もともとひと言だって声を発するつもりはないのだけれど、それは言いっこなしだ。
 黙していた父の唇が、フッと歪な弧を描く。
「財務大臣よ、この娘の髪は何色だ?」
 唐突な問いかけに、財務大臣が答える。
「き、金色でございます」
 満足げに頷いた父が、今度は宰相に目を向ける。
「宰相よ、この娘の目は何色だ?」
「紫でございますが……」
「そうか。ならば、この娘もまた我が国が誇る至高の華の一輪ぞ。光の乙女と同じ金髪紫目の王女なのだからな」
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