姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
「外交大臣よ。光の乙女と同じ金髪紫目を持つ我が国の至高の華を遣わすからには、王女は返却不可。これを以って条約違反は二度と蒸し返されない。その旨、彼の国との書状にはきちんと認めねばならぬぞ」
「ハッ! 陛下の御心のままに」
 まるで騙し討ちのようなやり口。『至高の華』と聞けば、普通は第一王女クラリッサか第二王女マリッサを想像する。
 さすがの私も向こうの国で阿呆のふりをするつもりはないが、それでも予想と違う王女の輿入れに対しタイラント帝国がどう動くかは分からない。
 夫となるのは野獣皇帝と呼ばれる男で、彼を怖れる気持ちもある。けれど、クラリッサとマリッサがいい例で、周囲の評判ほどアテにならないものはないと身をもって知っている。だから夫となる男のことは、実際に会ってみてから考えればいいとも思うのだ。
 いずれにせよ、光の乙女を追い出したこの国からは、確実に光の加護は遠ざかる。
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