姉たちに虐められてきたけど「能無しのフリ」はもう終わり。捨てられ先では野獣皇帝の寵愛が待っていて!?
 悪戯を白状するみたいな、ちょっと気まずげな顔。可愛すぎる彼の台詞と表情に、思わずウッと詰まる。
 ……だって、これは反則でしょう!?
 眉をハの字にしてこちらを窺う強面の大男の姿は、私の胸にクリティカルヒットした。
 心臓はバクバク煩いし、頬は一瞬で熱が上って真っ赤になっている。今にも湯気が出てきそうだ。
 私は照れ隠しに、パッと顔を背けるのが精いっぱい。すると、火照った頬が横から伸びてきた指にツンとつつかれる。
「真っ赤になって、可愛いな。これでは俺の理性がいつまで持つか分からんな」
「っ!?」
 今、なにか不穏な空耳が……!
 頑として聞こえなかったふりを貫いていると、ジンガルドがさらなる猛攻を仕掛けてくる。
「フッ。挙式までまだ日はあるが、できるだけはやく俺に堕ちてきてくれ。でないと」
 でないと!? 私がビクンッと肩を跳ねさせたところで、フラワーベースからドラセナがシュルルーッと葉を伸ばしてきて、ジンガルドの唇にベチンッと貼り付いた。
「グッ!?」
 心強い味方の登場に私はホッと安堵の息を漏らすのだった。
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