すべてはあの花のために④
「じゃあ言い方を変える。オウにとって大事な奴は、俺にとっての恩人だ。心配するに決まってんだろ」
「え……?」
そう言われてようやく気がついた。彼は、葵の返答が気に食わなかったわけじゃないのだと。
不機嫌そうな雰囲気は、ただ彼が、葵のことを娘のように見ていたからだったのだと。
「俺にとっても大切な娘みたいなもんだ。だから、……何かあったら遠慮なく言え。仕事ほったらかしてでも駆けつけてやるからよ」
「……ははっ。それ、とっても心強いです」
葵は、ペットのゴリラを手に入れた▼
「……やっぱり俺の扱い酷くないか」
「あれ? 出ちゃってました?」
「ばっちり聞こえてる」
「あちゃ~。ま、いじられてるってことは、愛されてるってことで!」
車から降りた葵は、運転席に座るヒエンへエールを送る。
「ヒエンさん。カリンさんとオウリくんのこと、幸せにしてあげてくださいねっ!」
「……ああ。もちろんだ」
ヒエンから、そっと手を差し出される。
「……ありがとうな、アオイちゃん」
「――! いいえ。こちらこそっ」
葵は、その手をぎゅっと握り返した。
「でも、痛いのはもう勘弁してくれ」
「あははっ。はーい」