すべてはあの花のために⑤

「じじ抜き面白かったね!」

「これで負けじゃなきゃもっと楽しいんだけどなー」


 自販機にチカゼがどんどんお金を入れる。


「チカくん、わたしも払うよ?」

「いいんだよ。こういうのは男が奢るもん」

「チカくんお小遣い少ないのに?」

「え。なんで知ってるの?」

「アカリさんから聞いたー」

「なんでそんな話になったのか逆に気になんだけど」


 がっくりと肩を落としながらも、チカゼはお金を払わしてはくれなかった。


「いいんだよ。お前はオレに付いてきてここまで付き合わされたのが罰ゲームだ」

「チカくんのそばは罰ゲームになるんだね。わかった。今後も気をつけるね」

「違うから。今だけの話。わかってるのにいじんな」

「ははっ。慌ててる」


 ふっと笑いながら、自販機のボタンを押していく。


「えーっと、アキラくんは……え。何、お汁粉? ダメダメ! こんな時間に何考えてるの。おいしいお茶にしといてあげよう。キサちゃんはレモネード。カナデくんはミルクティーかー。逐一女の子受けよさそうだな……。ツバサくんはレモンティー。アカネくんはココア。オウリくんはリンゴジュース! チョイスがもうかわいいっ! 悪魔くんは……コーヒー? しかもブラックだし。こんな時間に飲んで何考えてるんだろうね。寝られなくない? それから、チカくんは――」


 と言いかけたところで、チカゼに顎を捕らえられる。


「罰ゲームかどうかはお前次第だけど」

「ち、ちかく――」


 そして制止も聞かずに顔を近づけてきたので。


「――ぐはっ!」


 一発鳩尾に拳を叩き込んでやりましたけど。


「チカくんは何だったっけ? コーヒーでいいかな? 耳から……いや、鼻から入れてあげるね?」

「すみません、ちょっと暴走しただけッス。コーラでお願いします」

「わかればいいんだわかれば」


「が、頑張れっかなオレ……」と落ち込んでいるチカゼの横で、葵は何にしようか悩んでいた。時間が間に合わず一度釣り銭が出てくると、チカゼが「折角なら飲んだことねえのにしたら?」とアドバイスをくれた。


「それじゃあ……」


 葵はある飲み物のボタンを押して、みんなの元へと戻って行った。


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