うしろの正面だーあれ



『病院に行ったの。』



『病院?』



咲子が繰り返し訊くと、先生は頷きながら答えた。



『そう。広美ちゃんとすみれちゃんのお見舞いにね。
うちのクラス、休んでる子が多いでしょう?何か知らないか訊きたくて…。』



『そっか…。』



『そしたら病室に…』



『病室に?』



咲子の問い掛けに、先生は一瞬 顔を曇らせたが、すぐに笑顔を取り戻し、言った。



『…誰もいなくて。
窓を覘いてたらバランス崩しちゃってね。』



『そうだったんだ…。
でも…何で先生が死んだこと、学校は隠してるのかな…。』



『………………。』



それっきり、桜井先生は黙ってしまった。



咲子は、話の内容を隆史にも告げる。



『変じゃね?』



『え…?』



『だって、そうだろ。
子どもじゃあるまいし、窓 覘いてて落ちるとか有り得ねぇよ。』



『そっか…。』



『先生、ホントは誰かに突き落とされたんだろ?』



隆史の強い口調に、桜井先生は口を固く閉じたまま、何も喋ろうとはしなかった。



< 184 / 675 >

この作品をシェア

pagetop