うしろの正面だーあれ
『病院に行ったの。』
『病院?』
咲子が繰り返し訊くと、先生は頷きながら答えた。
『そう。広美ちゃんとすみれちゃんのお見舞いにね。
うちのクラス、休んでる子が多いでしょう?何か知らないか訊きたくて…。』
『そっか…。』
『そしたら病室に…』
『病室に?』
咲子の問い掛けに、先生は一瞬 顔を曇らせたが、すぐに笑顔を取り戻し、言った。
『…誰もいなくて。
窓を覘いてたらバランス崩しちゃってね。』
『そうだったんだ…。
でも…何で先生が死んだこと、学校は隠してるのかな…。』
『………………。』
それっきり、桜井先生は黙ってしまった。
咲子は、話の内容を隆史にも告げる。
『変じゃね?』
『え…?』
『だって、そうだろ。
子どもじゃあるまいし、窓 覘いてて落ちるとか有り得ねぇよ。』
『そっか…。』
『先生、ホントは誰かに突き落とされたんだろ?』
隆史の強い口調に、桜井先生は口を固く閉じたまま、何も喋ろうとはしなかった。