すべてはあの花のために⑥

「よし! それじゃあストーカー作戦決行だあ!」

「最低な作戦だね」

「ええ?! ヒナタくんが言ったんじゃん!」

「はいはい。そうだったっけねー」

「ええ……!!」


 時刻は7時前。葵たちは支度をして、玄関に来ていた。


「じゃあ鍵はあんたに預けるから」

「うん! 放課後返すね!」

「オレが出てしばらくしたら出てきてね。出たら右の道を行って、しばらくの間は真っ直ぐだから」

「うん! 見失わないようにする!」

「……ここなら仮面外せるの?」

「外さない方がよかったんだけど……」

「まあ外れるよね。仲直りするのに仮面とかふざけんなってなるよね」

「え!? やっぱり怒ってる……?」

「はは。……怒ってないよ?」

「よかった……」


 ヒナタは靴を履き終わって、一段上の葵を見上げる。


「次、仮面取るのは放課後?」

「うん。生徒会室かな」

「そっか。それじゃあ」

「え――……?」


 ヒナタがぎゅうっと抱きついてきた。


「………………、ーーー」

「ん? 何か言った?」


 こもって聞こえなかったけど、顔を上げたヒナタはなんだかスッキリした表情をしていた。


「やっぱりおっきいね」

「……!? ばっ、ばかー……!」


 ぽかぽかと叩くと、ヒナタが逃げるように玄関から出て行った。


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