すべてはあの花のために⑦

「あおい~……。会いたかった」


 仮面着きのシントが抱きついてきそうだったのを、葵はさらりと躱す。


「積もる話はありますが! わたし、今すぐに行かないといけないところがあるんです!」


 仮面を着けたままのみんなからブーイング。けれど、目元や口元はやさしく笑っていた。


「でもその前にっ」


 そう言って葵は、ヒイノに抱きついた。


「……会いたかった。ヒイノさんっ」

「あおいちゃん。わたしもよ」

「ミズカさん…………は、いいや」

「なんでだよ!」


 そう言って仲間外れにしたら、ミズカも寂しがって抱きついてくるのも、ちゃんと覚えてる。


「ははっ。ストーカー菌がうつる~」


 一頻り笑い合って、ヒイノの腕だけ取って会場から出ようとする。


「え? あおいちゃん……?」

「ちょっとだけ、ついてきて欲しいんです」


 葵がそう言うと、嬉しそうにヒイノの顔が緩むけど、その後ろから大人数が追いかけてきている。


「ストーップ! みんなはだめ~!」


 またもやブーイング。


「今から、約束を果たさないといけないので。あとで皆さんも道明寺に来てください。その時は、いくらでも揉みくちゃにされるので」


 そして、大好きなみんなに満面の笑顔を向ける。


「ありがとう! みんな大好きですっ」


 その笑顔に男性陣がメロメロになったことは、その後すぐヒイノを連れてその場を後にした葵は知らないこと。


< 218 / 245 >

この作品をシェア

pagetop