すべてはあの花のために⑦
「あおい~……。会いたかった」
仮面着きのシントが抱きついてきそうだったのを、葵はさらりと躱す。
「積もる話はありますが! わたし、今すぐに行かないといけないところがあるんです!」
仮面を着けたままのみんなからブーイング。けれど、目元や口元はやさしく笑っていた。
「でもその前にっ」
そう言って葵は、ヒイノに抱きついた。
「……会いたかった。ヒイノさんっ」
「あおいちゃん。わたしもよ」
「ミズカさん…………は、いいや」
「なんでだよ!」
そう言って仲間外れにしたら、ミズカも寂しがって抱きついてくるのも、ちゃんと覚えてる。
「ははっ。ストーカー菌がうつる~」
一頻り笑い合って、ヒイノの腕だけ取って会場から出ようとする。
「え? あおいちゃん……?」
「ちょっとだけ、ついてきて欲しいんです」
葵がそう言うと、嬉しそうにヒイノの顔が緩むけど、その後ろから大人数が追いかけてきている。
「ストーップ! みんなはだめ~!」
またもやブーイング。
「今から、約束を果たさないといけないので。あとで皆さんも道明寺に来てください。その時は、いくらでも揉みくちゃにされるので」
そして、大好きなみんなに満面の笑顔を向ける。
「ありがとう! みんな大好きですっ」
その笑顔に男性陣がメロメロになったことは、その後すぐヒイノを連れてその場を後にした葵は知らないこと。