すべてはあの花のために⑦
挿話 それは本当の物語



 むかしむかし

 あるところに

 自分の名前をなくしてしまった花が

 ありました


 名前をなくしたその花は

 いつもいつもひとりぼっちでした


 自分のことをいつも

 知って欲しかった


 自分のことをいつも

 わかって欲しかった


 でも

 知ってしまったら

 わかってしまったら

 自分が嫌われてしまうと

 いつもビクビク怯えていました


 でも

 そんなお花を

 お日様がずっと見守っていてくれました


 お日様のおかげでお花は

 苦しくなくなりました

 悲しくなくなりました

 寂しくなくなりました



 名前を取り戻してくれたお日様を

 自分を咲かせてくれたお日様を

 その花は大好きになりましたとさ




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