すべてはあの花のために⑦
「さてと。……すみません遅くなりました。ゴミを捨ててきたので、やっと静かに話し合いができますね」
そのあとすぐ、ガチャガチャ。どんどんと、誰かが扉を叩いている音が聞こえた。
「あ、アオイちゃん。これは流石にやりすぎじゃ……」
「あ。カナデくんすみません。先程ペンケースを粉々にしてしまって、もう使えるペンがないので貸していただけると有難いんですが」
「あ。……はい。これ使ってクダサイ」
「ありがとうございます」
『あれよりも酷い目に遭わせるぞ』という視線に耐えられず。カナデは自分の身を守るので精一杯だった。
そのあと、葵に気づかれないようオウリが扉の方に行って鍵を開けてあげようとしたら、ガチャリと扉が音を立てて開いた。
「ふー。危うく閉め出されるところだったし」
みんなは同時に思いました。『いや、確実に閉め出されてたよ』と。
「スペアキー持っておいて正解だった」
「え。そんなん作ってんのお前」
「え? 常識でしょ」
「……そのうちマジで犯罪犯しそうで怖いんだけど……」
「ん? ありがとう」
「褒めてねえ」
また一つ悩みが増えたツバサは頭を抱えていた。
「はいお待たせ。オレのこと待ったんでしょ? ごめんね?」
「日程は確か、ちょっと予定が合わなくて、下旬の金曜日にズレたんですよね」
ヒナタは葵の顔を覗き込むけれど、無視を続ける葵はさっさと話し合いをはじめた。
もうキリがないと思ったのか、アキラも会議を始めることに。
「その日は授業が終わり次第、あちらが来てくれるそうだ」
「そうなんだー。でも、二人でやってるなんてすごいよねー」
カナデの発言に、みんなが頷く。
「向こうのそういったとこの話も聞けんだろ?」
「お互いの学校をプレゼン形式で話をしながら交流を深めようとのことだ」
「それはいいかもしれませんね。要点がまとまっている方が、こちらも聞きやすいし」
「それは、じゃあわたしとレンくんでまとめておきます。ある程度完成したら、みんなにも確認をしていただこうと思いますがどうですか?」
「あんた体調悪いんでしょ? 手伝うよ」
「あおいチャン、二人でじゃなくてみんなでしたら、もっといいのができるかもしれないよ?」
「流石アカネくん。ではみんなの意見を聞いて、最後にまとめるのを是非わたしがやりたいんですが、いいでしょうか」
「私もお手伝いしますよ」
「ああ。よろしく頼む二人とも」
「はい」
「わかりました」
「アキくーん。オレもする」
「じ、じゃあひな――バキッ! ……いや。ひ、……お前はいいから、新歓の方の企画を二人の代わりにまとめてくれ」
「あれ? カナデくん、このペンこんなに折れやすくて大丈夫ですか?」
「そこは素直にごめんなさいって言おうよアオイちゃん」
「ごめんなさい。なんか勝手に折れちゃって」
「うん。もういいよ、それで……」
「もう、また折ったの? 怪我は? してない?」
「頑丈なのを今度プレゼントしますね」
「う、うん。ありがとう……」
「オレもちょうだーい」
「それじゃあ取り敢えず、交流会についてはこれくらいにして、新歓の日取りとかを確認しましょうか」
「そうだね。そうしよー」
このままじゃいけないと思いつつ、みんなは身の危険を感じてそれどころじゃなかった。