すべてはあの花のために⑦
「いや~。とっても楽しい交流会でしたねえ?」
「そうだねカオル」
「取り敢えず、顔合わせはできてよかったです」
迎えの車の中で、男三人が話をしている。
「道明寺さんがちゃあーんとぼくたちのこと話してなかったから、自己紹介までする羽目になっちゃいましたけどねえー」
「こらこらカオル。あおいさんをいじめちゃ駄目だよ。俺らが、『会ってから自己紹介する』って言ってたんだから」
「ま、そのおかげで生徒会のみんなさんは、パニックみたいでしたけどね」
「いやー! あれは傑作でした! ほんと、お馬鹿な人たちの集まりなんですね? 桜って」
「あはは! ……きっとお父様も、お母様も喜んでくれるだろうよ?」
「そうですね。アザミ様もエリカ様も。さぞお二人の仕事の成果を期待しておられることでしょう」
「お馬鹿な人たちばかりで助かりましたぁ。大人たちだけえ? そんなわけあるわけないでしょうに」
「桜はどうか知らないけど、百合はあの生徒たちの集まりだよ? 親睦を深めるなんて、無理に決まってるのにねー?」
「取り敢えず一歩、踏み出した。といった感じですか」
男三人がにやりと笑う。
「呑み込んであげましょう。桜は、散る姿こそ綺麗ですから」
一緒に乗っていた葵はやっぱり仮面を外してはいたが、何も言わずただただ拳を作っていた。