愛しいあなたに紅い花を
──────────

──────

───





「……美柚、梨佳。そいつ誰だ。」





入学式が終わり、半日で解散となった今日。





私の目の前には、綾藤玲雅──────帝華総長がいた。





お姉ちゃんの部屋に飾ってあった写真に写っていた人。





お姉ちゃんをたくさん笑顔にしてくれた人。





お姉ちゃんをとっても幸せにしてくれた人。





────そして、お姉ちゃんを地獄に突き落とした人。





彼を、探してた。





どうやって近づこうか、幾度も考えた。





多少の危険も覚悟してたのに、まさかこんなにも早く楽に会えるなんて。





昂る気持ちを抑えて、きゅっと美柚の服の袖を掴む。





『み、美柚ちゃん、この人たちって…』





「もうれいくん!そんなに怖い顔しないでよ!」




美柚は腰に手を当てて、頬を膨らませながら綾藤玲雅に近づく。




「綾藤、この子は水瀬あざみ。私達と友達になったの。」





梨佳の説明に、綾藤の眉が僅かに寄った。





背中を嫌な汗が流れる。




もしかして、お姉ちゃんから私の名前を聞いていた?




ドクドクと不自然に心臓が脈打つのを感じながら、美柚の袖を掴む指に力を入れる。




「…...えっ、と、水瀬あざみ、です。よろしくお願いします。」




下げていた目線を、名前の部分だけ綾藤に合わせる。




......少し人見知りなお姉ちゃんは、初対面の人と会う時、こうしていた。




誰よりも可愛かったお姉ちゃんは、その仕草だけで相手に好かれることも多かった。




私はお姉ちゃんのようにはなれないけれど、こうした小さな仕草から、綾藤の頭の隅にあるお姉ちゃんの記憶を少しでも引き出せれば。




私にだって、綾藤に、帝華に、近づくチャンスが訪れるのではないか。




そんな期待を胸に抱きながら、もう一度、下げていた目線を綾藤に向ける。

< 6 / 6 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

あの日の約束を、君ともう一度
MnR/著

総文字数/63,090

青春・友情166ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
君が私にくれたリストバンド。 私が君にあげたリストバンド。 あの時の約束は、もう果たされない。 果たせない。 そう思っていた。 それでも君は、守ってくれた。 それは私の夢で。大切な、君との約束。 君は、私の夢を叶えてくれた。 ありがとう。 ▤ ▥ ▦ ▧ ▤ ▥ ▦ ▧ ▤ ▥ ▦ ▧ ▤ ▥ ▦ ▧ ▤ ▥ 公開している作品では、3作目となります。 タイトル変更 「君と私のリストバンド」 ↓ 「あの日の約束を、君ともう一度」 ▤ ▥ ▦ ▧ ▤ ▥ ▦ ▧ ▤ ▥ ▦ ▧ ▤ ▥ ▦ ▧ ▤ ▥
君は私の人生の、輝く太陽。
MnR/著

総文字数/98,913

恋愛(その他)101ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
誰か私を見つけて 変わらない日常 それはいつまでも続くと思ってた 私は"私"で生きれない 私は"あの子"になってしまったの 誰かに気づいて欲しかった ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 2作目です! まだ日本語がおかしかったり、話が変になってたりしてしまうと思います・・・。 それでも、読んでくだされば嬉しいです! また、この作品は節がすべて花の名前となっております。 花言葉で選びました。 それも含めて、読んでくださると嬉しいです! タイトル変更いたしました! 「私と私~偽りの私~」 ↓↓↓ 「君は私の人生の、輝く太陽。」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
涙色
MnR/著

総文字数/76,696

青春・友情161ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「もう誰も信じない」 ––––川崎夢羽–––– × 「俺らを信じろ」 ––––翠嵐–––– 私を信じてくれてありがとう ≣≣≣≣≣✿≣≣≣≣≣≣≣≣≣≣≣≣≣≣≣≣≣≣ 初作品なので文章がおかしいかもしれませんが、あたたかく見守ってください。 1日1ページを目指して頑張っています! 亀更新だと思いますが、よろしくお願いしますm(*_ _)m

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop