すべてはあの花のために❽

「……きっと。幸せになれるよ」

「え?」


 ハナがそう、ぼそっと零す。


「ううん。絶対に、ヒナタくんは幸せになれるよ!」

「そ、……そう?」


 それにはハナが必要なんだけど……とかは、もちろん言えない。


「わたしが幸せにしてあげるよ! 約束する!」

「(ぶはっ)」


 なんかプロポーズされてしまった。
 いや、わかってるよ? 多分、願いのことを言ってるんだろうなって。


「だから、どーん! と大船に乗った気で待ってるといいよ!」


 待ってる、……か。オレも、できることならそう言ってやりたい。
 待ってれば、助けてやれるって。だから、無理だけはすんなって。


「……幸せに。ならないといけないんだ。みんな……」

「(……はな……)」


 オレらがハナの犠牲者だから、そんなことを言ってるっていうのもわかってる。でも待ってるってことは、オレにハナが近づいてくるってことだ。


「(ああもう。どうすればいいかわからない……)」


 ハナが近づいてくることは嬉しい。この上なく。でも近づかれて嫌われると思うと、やっぱり距離を置きたくなる。


「(今のオレには、こんなことしか返してやれないけど……)」


 もう、時間だ。そっとハナに近づいて、耳元で小さく話す。
 はじめはびくっとしたハナも、嬉しそうに頬を緩ませた。


「(……よかった。笑顔が見られて)」


 そのままオレは、ハナの横を通り過ぎて体育館の方へ向かった。



「上等だあー! こらー!」


 後ろでそうハナが叫んでるのが聞こえる。それだけで、ちょっと顔が緩む。


「(なんで若干キレられてるっぽくなってんの……)」


 言葉は悪い。でも、ハナの声はどこか明るかった。


「(……さてさて。準備でもしますかね)」


 オレは、小さく笑いながら体育館へと足を運んだ。





『……期待してるよ、下僕?』


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