すべてはあの花のために❾
それからオレは、一応二人に断りを入れてシオンさんに二人の連絡先を教えた。
「それでは、今回の件のこととか、オレから聞いたってことは絶対に言わないでくださいね」
「わかった」
「オレがあいつにバレないように、勝手に動いてるんで。もしバレてしまったらもう、あいつは話すことをやめてしまう」
「せやね。気をつけるわ」
「もしさっき話した件を聞いたり、オレがこんなことをしていることが、録音なんかしてるのがあいつにバレたりしたら……」
「……ば、バレたら?」
「な、なんやねん……」
オレはさっとスマホを出して、二人に見せる。
「シオンさんは、あいつにぼろ負けした動画を」
「え」
「マサキさんは、なんかあいつのことを愛おしげに見てる写真を(チッ)」
「へ……!?」
「これ。ばらまかれたくなかったら、絶対に言わないでくださいね」
「「ええー!?!?」」
「いやー。組長がこんな少女にぼろ負けしたとあれば、面子が丸潰れですねー」
「い、いやいや。そんなことは……」
「じゃあシオンさんも、あいつのことをそういう目で見てる写真も一緒にばら撒きましょう(チッ)」
「え!?」
「ちょ、紫苑さん!?」
「いやいや! マサキは何でそんな目で見てるんだよ!」
「え? ……いや~なんや。ちょっと初恋の子の影がこう、チラチラ~っと……」
「そんな組長とその幹部がまさかロリコンだったなんてこと、バレたらどうなりますかねー」
スマホで口元を隠しながら、にやりと笑う。そうするだけで、二人は顔が真っ青になっていく。
「ぜ、絶対に聞かないし、バレたりするようなことも言わないよ?」
「せ、せやで……? せやからその。カナには言わんといてな……?」
「それはあなた方次第ですよ」
がっくりと肩を落とした二人を見て、小さく笑う。
「さてと。駒二つゲットですね。……お二人とも? いい働き、期待してますよ」