すべてはあの花のために❾

 最後に一度あおいを引き寄せて、体を少し屈ませる。


「……いってらっしゃい。気をつけてね」

「――――」

「……? おーい。だいじょうぶ?」

「……! ……だ。だい、じょう、ぶ。……い、いって。きます」

「うん。程々にね」

「……。う、うん。……っ。そ、それじゃあね……!!」


 笑いかけながらそう言ってやったら、思い切り目線を逸らされた挙げ句、ばびゅんっと勢いよく出ていかれた。


「……早く出ていきたかったのか」


 それはそれでショック……と思って、壁にもたれ掛かりながら床にへたり込む。


「……あ。みんなに、どこ行ってたんだーとか言われそう。なんて言おうかな。ナツメさん、いい感じに話し合わせてくれないか……あ。仕事か。もう行っちゃったのか。だったら勝手に嘘言えばいいや……」


 いつ頃出ていこうか。もう少しかな。
 そんなことを考えながら、もう少しあおいの部屋で、オレはゆっくりしていた。





「……っ。はあ。はあ……」


 だから、部屋を飛び出していったあおいが、廊下を曲がったすぐのところで。


「……ななな。な、んだ。これ……」


 どくどくと。早い鼓動を抑えてたり。


「~~……っ。あ。あつい。……っ」


 唇が触れた頬を、真っ赤にしていたり。


「……。っ。ひなた。くん。……っ」


 切なく、かわいい声でオレの名を呼んでいたなんて、知らなかった。


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