結婚なんて、ゼッタイお断り!
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「この学園、広すぎ……!」
私が中学受験して通うことになった、『私立城華学園中等部』。
ここは幼稚園から大学までのエスカレーター式の一貫校だ。
頭がいい生徒はもちろん、お金持ちの生徒や、芸能界で子役時代から活躍している有名人もいる。
校舎はレンガ調のお城みたいで、すごくおしゃれ。
「(そういえば、ドラマの撮影現場になったこともあるんだっけ)」
食堂でお昼ご飯を食べて、特にすることもない私は、一人で校内を見て回っていた。
「──おい、美桜」
「……!?」
そのとき、うしろから突然ぶっきら棒な声で呼ばれた私の名前。
……あぁ、この声も聞いたことがある。
「澄田 大和……」
婚約者候補の中で一番背が高くて、金髪で、耳にはいくつものピアスが付けられている。
いかにもヤンキーみたいな、この男子。