結婚なんて、ゼッタイお断り!
第1話:私には三人の婚約者候補がいるらしい。
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「──来ないで!一人になりたいんだってば!」
いつもうしろをついてくる護衛二人に、大きな声でそう叫んで、家を飛び出した。
なんなの、なんなの、なんなのよ!
さっきおじいちゃんから聞いた、〝あの〟話。
明日から通う中学校、『私立城華学園中等部』に、私の婚約者がいるって何よ!?
しかも一人じゃなくて、婚約者の候補がたくさんいるってどういうこと!?
しかもしかも、中学卒業までに結婚相手を選べって!?
……あぁ、もう!信じられない!
おじいちゃんのトンデモ発言が、ずっと頭の中をグルグルして離れない。
〝『美桜が選んだ結婚相手は、きっとお前がどんなピンチに陥ったとしても、一番近くでお前のことを守ってくれる存在になる』〟
〝『心配性なおじいちゃんの、最後の頼みだと思って聞き入れてほしいんじゃ、美桜』〟
「……私に、結婚なんてできるわけないじゃん」
勢いよく走って外へ出てきた足が、ピタリと止まる。