結婚なんて、ゼッタイお断り!
「い、言っとくけど結婚しろって言ってもムダだからね!」
「え?」
「前にも言ったけど、私は誰とも結婚なんてしないんだから」
「……うん、しなくていいよ」
「え!?」
伊織の声はずっと一定で、心地いい落ち着いた声をしている。
そんな伊織は、うんと優しい目で私を見ながらそう言った。
「結婚、しなくていいの?」
「美桜ちゃんはしたくないんでしょ?だったら無理にする必要はないよ」
「本当に?」
「でもその代わり、君を一番近くで守らせてほしい」
「ま、守るって……。私、ちゃんと護衛が二人もいるし」
「でもこの学園の中にはいないでしょ?」
「それは、まぁ、そうだけど」
「どんな些細なことでもいい、何かあったら一番に俺を頼ってほしい」
どうして伊織はここまで私を守ろうとするんだろう。
どうしていつも、心配そうな顔をして私を見るんだろう。