結婚なんて、ゼッタイお断り!
「小さいころからずっと、君を守るように言われてきた」
「小さいときから?」
「うん。だから、俺は別に美桜ちゃんとの結婚は望まない。でも、君を一番に守る権利がほしい」
「なんで、そんな……」
「それが、俺の使命だって思うから」
伊織の真剣そうなその表情に、私は目を離すことができなかった。
心臓の鼓動が、ドキドキとうるさいくらいに音を立てている。
結婚なんて、ゼッタイにしないって思っていた。
おじいちゃんから婚約者候補の話を聞いたとき、そう思った。
……ううん、それは今でも思っている。
だけど、これまでずっと私が欲しかった言葉を、この三人が言ってくれた。
『今日から一緒に中学生活、楽しもうね!』
『暇なら俺のところに来いよ。いつでも相手してやるから』
『どんな些細なことでもいい、何かあったら一番に俺を頼ってほしい』
伊織と、大和と、陽太の言葉。
それぞれの言葉が、孤独だった私の心を少しずつ溶かしていく。