歪んだ月が愛しくて1
帰還
立夏Side
「お帰りなさい」
会長に手を引かれるがまま中庭に戻ると、そこで俺達を待っていたのは爽やかな笑顔をこれでもかって顔に貼り付けている九澄先輩だった。
「九澄先輩?何でここに…」
「勿論、2人を迎えに来たんですよ」
そう言って九澄先輩は膝を曲げて俺と視線を合わせる。
途端、九澄先輩はスッと目を細めた。
「……立夏くん、大丈夫でしたか?」
まるで心配されている気分だ。
変な感じがする。
嫌な…、ムズムズする感じ。
「俺は大丈夫です。それより会長が…」
「分かってます。既に医師は手配しましたので安心して下さい」
「医師?」
ピクッと、九澄先輩の言葉に会長が眉を顰める。
そんな会長の様子に気付いた九澄先輩が補足する。
「安心して下さい。後々のことを考えて貴方の見知った医師を手配しましたから。貴方も大変でしたね」
「フン、分かったようなこと言いやがって」
「これでも副会長ですからね。貴方の意に反することはしませんよ」
「……お節介め」
「その減らず口も治せたらいいですね。生まれ付きだと思いますが」
「お前にだけは言われたくねぇよ」
「奇遇ですね。僕もそう思います」
くっ、黒い…。オーラが黒過ぎる。
怖過ぎて近付かないんですけど。
「では行きましょうか」
「えっ、あ、病院ですか」
「いえ、保健室です」
「保健室?」
病院じゃなくて?