歪んだ月が愛しくて1
「新歓のことは気にしないでよ。正直今の今まで忘れてたしみっちゃんの大好きな会長の顔面に蹴り入れたのも事実だしさ。言い訳もクソもありません」
「……言い訳なんてしたらぶっ飛ばしてたよ」
「良かった」
そう言って苦笑するとみっちゃんはバツが悪そうな顔をして俯いた。
(そんな顔、みっちゃんがすることないんだけどな…)
みっちゃんは態度が大きいから勘違いされ易いけど凄く誠実な人間だと俺は思う。
それでなければ態々自分の非を詫びたりそんな罪悪感丸出しの顔は出来ないだろう。
律儀で誠実で意外と情に厚い人なんだろうな。
だから俺もみっちゃんの前では誠実な人間でいなければならない。
それがこんな俺なんかに謝罪してくれたみっちゃんに対する俺なりの誠意だと思うから。
「……俺さ、怖かったんだと思う」
「怖い?」
「大切なものを作って、また失うことが…」
自分からクラスに打ち解けられなかったのは理由はそんな単純なものだった。
自分を守るために。
弱くて卑怯な自分を隠すために。
「今更友達が欲しいなんて言わないし俺のこと嫌いだって構わない。でもみっちゃんは自分のことを否定しちゃダメだ。みっちゃんは何一つ間違ったことしてないし、もし間違いそうになった時はそれを止めてくれる人達が沢山いるんだから」
「………」
「自分で自分を否定するなんて勿体無いよ」
俺が言えた義理じゃないけど。
「…み……ないの」
「え?」
そう聞き返すと。
「君は、止めてくれないの…?」
初めて聞いた弱々しい声がそんなことを言った。
その声にどこか親近感を覚えた。
「……止めるよ」
その言葉に嘘はない。
ただその資格が俺にあるかどうかはまた別の話だけど。
「……だったら、僕と友達になりなよ」
「え、」
友達?
「友達になるんだったら名前で呼ばせてあげてもいいけど?」
「でも、俺のこと許せないんじゃ…」
「当たり前でしょう。僕の敬愛する尊様のお顔を傷付けるなんて有り得ないから。マジでぶっ飛ばしてやろうかと思ったよ」
ですよね。