リアル人狼ゲーム

第6ゲーム【受け継ぐ】

「玲奈ちゃん!」
大丈夫?
「玲奈ちゃん!」
「瑠夏ちゃん…」
一瞬困惑した顔を見せた。
まさか…
「あのね、話したいことがあるんだけど、瑠夏ちゃんだったら丁度いいかな」
話したいこと?
丁度いい?
「おいで。話そ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー明日香と歩美が死んだプール。
そこで話そうと言われた。
「話って?」
するとゆっくり口を開け、玲奈ちゃんは話し始めた。
「自分、ずっと友達が死んだから自分も死ぬ。そんなことしか考えてなかった。でも、そうしたら、死が連鎖してしまう。とめられなくなる」
杏奈は月美に殺され、月美は歩美に殺され、歩美は明日香に殺された。
「明日香はそんな負の連鎖を、一度でも止めてくれた。自身の死によって。そして同じく自殺しようとした私を葵ちゃんは止めてくれた。こうやって、自身を捨ててでも負の連鎖を止めてくれた命を私は背負っている」
玲奈ちゃんの話を、私はだまって聞いていた。
「私、決めた。」
玲奈ちゃんは立ちあがった。

「私、生きる。負の連鎖を止めてくれた明日香と葵ちゃん、そしてこのゲームによって殺されたたくさんのクラスメイトの命を背負って」
やがて私もロを開く。
「…そっか。」
嬉しかった。
一瞬、この子は殺したくないな、と思った。
そんなの、人狼にとって反則だけど。
キーンコーンカーンコーン。

来た。
今日で決着がつく。
あと1人を殺せば、私は生きのこれる。
だったら…

「殺ってやる」

小部屋へ行く。
決着だ。
早くだれか殺して、私は生きのこるんだ。
この気味悪い無音からも開放される。
夜がくる。
『殺したい人を一人選んでください』
玲奈ちゃんを省くと…
秀美とつかさ。
『白宮瑠夏:ほんじゃ殺す人ルーレットで決めるねーどーでもいいから』
スマホでルーレットアプリを開いて、秀美とつかさの名前を入力する。
普通の人狼ゲームは、人狼陣営:人間陣営が同じになったら勝ち。今回もきっとそう!
「ドゥルルル…バァン!おーっ!つかさちゃんだ」
カチカチッ。
これで終わりだーっ!
夜が明ける。
『殺された人はいませんでした』

は…?
だったらもう、つかさちゃんを吊るように仕向けるか…
『白宮瑠夏:そーそー、つかさちゃんの役職、知ってるよー裏切り者だよー』
『豊橋秀美:え?そうなの!?』
めんどくさい。
はよすべて終わらせて!!
『音和つかさ:そうよ』
… え?
『白宮瑠夏:え?嘘でしょ?』
『音和つかさ:そうよ』
まさか。本当だったなんて。
『音和つかさ:私も、明日香ちゃんの後をつぐ。ただそれだけ』
『高木玲奈:…そっか。受け継ぐんだね。お別れはつらいけど、受け継いでくれてうれしい』
もう全部てきとー!
やっちゃえ!
カチカチッ。
『投票結果』

音和つかさ:5票

よかったー!
これで私は、開放される。
おもしろかった。
ビーーー!
画面の表示も無視して、小部屋のドアへ向かう。
バタン!

やったーー!
生き残った!
それに引きかえ、負けた人はなんて残酷なんだろう。
すると久しぶりに聞くアナウンスが流れた。
『おめでとう。人狼チームの勝利だ』
「やったー!美奈、生き残ったよ!」
しかし、美奈は笑顔を見せない。
これから死ぬ人たちに目を向ける。
秀美は震えているが、玲奈は目を瞑ってる。
『人間チー厶の人を殺す』
「バーイバーイ!」
思わず声がでた。
そして足元の床が開き、2人は声も上げずにおちていった。
床が閉まる。
これで生き残った生き残った。
開放される…
アナウンスが入る。


『君たちはまだ解放されない』
…は?
「ちょ、なんでよ!ここから出して!」
『準備ができ次第、解放する』
なんで?今すぐに解放してもいいのに。

ブチン。

電気が消えた。
どういうこと!?
嫌な予感しかしない。

ビリビリビリ。
何?
その音はどんどん近づいてくる。
大きくなってくる。
「電流よ!」
「ぎゃああー!」
なんで!
なんで今殺そうと…
そんなこと考えてる暇はない!
とにかく逃げろ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「でもどこへ!?」
どこ行けばいいの!?
そんなのわかんない。
ところで美奈が前に逃げてて邪魔だ。
いっそ美奈も殺そう。
そうだ。
屋上まで連れていって落とそう。
あの高さは即死だ。
でも屋上までは行きたい。
ドシン。
「あ!」
わざと転んだ。
「瑠夏ー!」
美奈が私の手をとる。
美奈はスポーツ万能だから、手を取られれば、あっていうまに逃げられる。
「そうだ!屋上へ行こう!きっとそこまではいかないと思う!」
「オッケー!」
ノった。
行け行け。
美奈、死ねーーー!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ…」
屋上…着いた。
「ここに行けば安心だよ!」
しかし美奈は安心した顔を見せない。
「私のこと疑ってんの?信じて!」
「…」
何考えてんだ美奈…
そして美奈が屋上の端っこまでくる。
「あー!」
「どうした?」
「校舎が半分黒焦げ!」
ええ!
屋上安全じゃないの!?
そして端っこへ向かい下を見る。
ぜんぜん黒焦げてなんかない。
よかった…
もー脅かさなないでよ…
次の瞬間後ろからドンと何かがぶつかる。
そして足が浮いたような感覚になる。
…え?

私は屋上から真っ逆さまに落ちていく。
なんで!?
懸命に振り向くと、そこには変わり果てた美奈の姿があった。
私を見て、「バイバーイ」とでも叫んでそうな顔。
私…美奈に屋上から落とされたんだ。
なんで…美奈が…
『どーでもいいから』
『バーイバーイ!』
あ。そうか。
私が…自分だけ生き残ろうとしたからだ。
クラスメイト達を捨てた。
美奈のことを捨てた。
だから…だ。
こんな思いしなければ、生きれたのかな。
生きたかった。
それが行きすぎた。

もし生まれ変わったら…
こんな思いを二度と抱かないことを決意して、生きていきたいな…

ドォン
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ビリビリという音が近づくと、屋上にいたもう一人の少女が屋上の手すりに触れる。
そして少女は手すりをまたぎ、落ちていったーーーー
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