本当の愛を知るまでは
無事にマンションに着きエントランスに入ろうとした時、ふいに「花純!」と声がした。
え?と振り返った途端、誰かにギュッと抱きしめられる。
(え、な、なに?)
思わず身体をこわばらせると、耳元で苦しげにささやかれた。
「ごめん、花純」
「え、光星さん!? どうしてここに……。お仕事は?」
「花純が先だ。ごめん、不安にさせて」
「ちょっと待って。どういうこと?」
花純は両手で光星の胸を押し返すと、顔を上げた。
「何かあったんですか?」
「花純の不安そうな顔を見て、胸が張り裂けそうだった。鬱陶しい存在になりたくなくて、極力君と接触しないようにしてたんだ。けど、間違ってた。君を寂しがらせてたなんて、男として情けない。すまなかった」
「光星さん……」
花純はうつむくと、両手で光星の手を握る。
「それを言いに来てくれたの?」
「ああ。バーを出てすぐタクシーに乗って、ここで待ってた」
「そんな……。私がいつ帰って来るかも分からないのに?」
「そんなこと、気にする余裕もなかった。ただ会いたくて」
ようやく花純は笑顔になる。
「今までの光星さんとは別人みたい」
「ごめん。こんな……余裕もなくて」
「ううん、今の光星さんの方が好き」
「花純……」
光星は花純を優しく抱きしめる。
「これからは、ちゃんと気持ちを伝えるから」
「はい」
「我慢しない。会いたいって、正直に言う」
「はい、私も言います」
「ああ」
ゆっくり身体を離すと、花純は光星の顔を覗き込んだ。
「じゃあ、早くオフィスに戻ってください」
「ええ!? やっと会えたのに」
「システムメンテナンスしなきゃいけないんでしょう?」
「25時からだから、まだ大丈夫」
「でも、もし遅れたら大変だから。ね?」
すると光星は、しばらくうつむいて考えてから顔を上げる。
「花純、部屋から着替えを取って来て」
「え? どうして?」
「もう我慢しない。俺の気持ちを正直に伝える。花純、一緒にオフィスに戻ってほしい」
「オフィスに? 私も仕事を手伝うの?」
「ははっ、違うけど、そうかも。花純にそばにいてほしい。ダメか?」
「光星さん……。ううん、ダメじゃない。私もそばにいたいです」
そう言うと光星は嬉しそうに笑った。
え?と振り返った途端、誰かにギュッと抱きしめられる。
(え、な、なに?)
思わず身体をこわばらせると、耳元で苦しげにささやかれた。
「ごめん、花純」
「え、光星さん!? どうしてここに……。お仕事は?」
「花純が先だ。ごめん、不安にさせて」
「ちょっと待って。どういうこと?」
花純は両手で光星の胸を押し返すと、顔を上げた。
「何かあったんですか?」
「花純の不安そうな顔を見て、胸が張り裂けそうだった。鬱陶しい存在になりたくなくて、極力君と接触しないようにしてたんだ。けど、間違ってた。君を寂しがらせてたなんて、男として情けない。すまなかった」
「光星さん……」
花純はうつむくと、両手で光星の手を握る。
「それを言いに来てくれたの?」
「ああ。バーを出てすぐタクシーに乗って、ここで待ってた」
「そんな……。私がいつ帰って来るかも分からないのに?」
「そんなこと、気にする余裕もなかった。ただ会いたくて」
ようやく花純は笑顔になる。
「今までの光星さんとは別人みたい」
「ごめん。こんな……余裕もなくて」
「ううん、今の光星さんの方が好き」
「花純……」
光星は花純を優しく抱きしめる。
「これからは、ちゃんと気持ちを伝えるから」
「はい」
「我慢しない。会いたいって、正直に言う」
「はい、私も言います」
「ああ」
ゆっくり身体を離すと、花純は光星の顔を覗き込んだ。
「じゃあ、早くオフィスに戻ってください」
「ええ!? やっと会えたのに」
「システムメンテナンスしなきゃいけないんでしょう?」
「25時からだから、まだ大丈夫」
「でも、もし遅れたら大変だから。ね?」
すると光星は、しばらくうつむいて考えてから顔を上げる。
「花純、部屋から着替えを取って来て」
「え? どうして?」
「もう我慢しない。俺の気持ちを正直に伝える。花純、一緒にオフィスに戻ってほしい」
「オフィスに? 私も仕事を手伝うの?」
「ははっ、違うけど、そうかも。花純にそばにいてほしい。ダメか?」
「光星さん……。ううん、ダメじゃない。私もそばにいたいです」
そう言うと光星は嬉しそうに笑った。