本当の愛を知るまでは
「花純、ただいま! はい、お土産ね」
「千鶴ちゃん、おかえりなさい。わあ、 香水と、リップだ。嬉しい! ありがとう」
「どういたしまして。ね、今日ランチ一緒にどう? 色々話したいことあるんだ」
「うん、分かった。私も千鶴ちゃんに話があるの」
「ん? なんだろう。じゃあ、ランチの時にね」

そう言って他の人にもお土産を配りに行く千鶴を、花純は複雑な気持ちで見つめた。

(千鶴ちゃんの話って、グアムのお土産話? それとも、光星さんのこと?)

気になるが、たとえどんな話の流れになっても、きちんと伝えなければ。
気持ちを引き締めて午前中の仕事を終えると、二人で5階のカフェに向かった。

「お、滝沢もいる。久しぶりだー」
「ほんとだ。実家から帰って来たんだね」

レジに立っている滝沢に、二人でオーダーしに行く。

「おー、お久しぶりっすね、お二人とも。あれ? なんか杉崎さん、日焼けしてない?」
「いいでしょー。グアム焼け」
「へえ、誰と? 彼氏でも出来た?」
「うぐっ、あんた鋭いとこ突っ込むね。残念ながら、大学時代の女友達とね」

千鶴と話したあと、滝沢は花純に声をかけた。

「森川さんも、久しぶり」
「うん、久しぶりだね。実家はゆっくり出来た?」
「まあね。就職先が決まって、ようやくうるさく言われなくなった」
「そっか。ご両親も安心だね」
「今日は何にする?」
「えっと、ミートドリアにする。チーズたっぷりで」
「了解」

そっと様子をうかがうが、滝沢はいつもと変わりない。

(まずは千鶴ちゃんに今日しっかり話をしよう。滝沢くんのことはそれから考えることにして)

そう言い聞かせて、花純は千鶴とテーブル席に着いた。
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