本当の愛を知るまでは
「でね、グアムは、まあそれなりに楽しかったんだけど、その前にちょっと色々あって」
料理を食べながら、千鶴が切り出した。
「色々って?」
「うん、実は……。花純が休みに入る前日かな、仕事終わりにロビーで上条さんを見かけたの。ラッキーって思って、一緒にバーで食事でもって誘ったら断られて。だからその場で思い切って告白したの。これからおつき合いすることを前提に、会ってくれませんかって。そしたら、恋人がいるってあっさり玉砕。あーあ、彼女いないと思ったのにな。ほら、料理作ってくれる秘書は恋人ですかって聞いたら、否定してたじゃない? それに私たちと飲むのもあっさりオーケーしたから、てっきりフリーかと思っちゃった。ねえ?」
花純は意を決するとスプーンを置いて顔を上げる。
「千鶴ちゃん。私、千鶴ちゃんに話さなきゃいけないことがあるの」
「なに、急に。どうしたの? 花純」
膝に置いた手をギュッと握り、大きく息を吸った。
「私、上条さんとおつき合いしてるの」
「え……」
千鶴は完全に動きを止める。
周りのガヤガヤした物音がやけに大きく感じられた。
「嘘、でしょ?」
「本当。今まで黙っててごめんなさい」
「……いつから?」
「7月の、半ばくらい」
「それって、お盆に4人でバーに行った時には、もうつき合ってたってこと?」
花純はゆっくりと頷く。
「な、何よそれ? 二人して影で笑ってたの? 私が上条さんにヘラヘラしてるって」
「違う! そんなこと……」
「そうでしょ!? だったらなんでその時に言わなかったのよ」
「それは……」
「ほら、やっぱり!」
「違うの、本当にそんなこと思ってなかった。千鶴ちゃん、私は」
もういい!と千鶴は立ち上がる。
「先に戻る。今は花純と話したくない」
食器を返却口に置くと、千鶴はそのままカフェを出て行った。
料理を食べながら、千鶴が切り出した。
「色々って?」
「うん、実は……。花純が休みに入る前日かな、仕事終わりにロビーで上条さんを見かけたの。ラッキーって思って、一緒にバーで食事でもって誘ったら断られて。だからその場で思い切って告白したの。これからおつき合いすることを前提に、会ってくれませんかって。そしたら、恋人がいるってあっさり玉砕。あーあ、彼女いないと思ったのにな。ほら、料理作ってくれる秘書は恋人ですかって聞いたら、否定してたじゃない? それに私たちと飲むのもあっさりオーケーしたから、てっきりフリーかと思っちゃった。ねえ?」
花純は意を決するとスプーンを置いて顔を上げる。
「千鶴ちゃん。私、千鶴ちゃんに話さなきゃいけないことがあるの」
「なに、急に。どうしたの? 花純」
膝に置いた手をギュッと握り、大きく息を吸った。
「私、上条さんとおつき合いしてるの」
「え……」
千鶴は完全に動きを止める。
周りのガヤガヤした物音がやけに大きく感じられた。
「嘘、でしょ?」
「本当。今まで黙っててごめんなさい」
「……いつから?」
「7月の、半ばくらい」
「それって、お盆に4人でバーに行った時には、もうつき合ってたってこと?」
花純はゆっくりと頷く。
「な、何よそれ? 二人して影で笑ってたの? 私が上条さんにヘラヘラしてるって」
「違う! そんなこと……」
「そうでしょ!? だったらなんでその時に言わなかったのよ」
「それは……」
「ほら、やっぱり!」
「違うの、本当にそんなこと思ってなかった。千鶴ちゃん、私は」
もういい!と千鶴は立ち上がる。
「先に戻る。今は花純と話したくない」
食器を返却口に置くと、千鶴はそのままカフェを出て行った。