前世での幼なじみ

第2話『記憶のカケラ』

〇 まりなの自室・朝 柱
朝日が差し込む部屋の中、まりながベッドの上で息を整えながら天井を見つめる。
昨夜の夢を思い返す。 ト書き
夢の中には、祐介とそっくりな少年がいた。
しかし、彼は制服ではなく、どこか昔の時代の服装を身にまとい、まりな(前世らしき自分)に向かって何かを約束していた。 ト書き
???「俺が絶対に守るから」 セリフ
まりなは目を見開く。
胸の奥がざわつく。 ト書き
まりな(心の声)(やっぱり……あれって……)
頭がぼんやりとするが、確信が生まれる。
——これは、ただの夢じゃない。前世の記憶——かもしれない。 ト書き
〇 学校・教室、体育館、廊下(昼) 柱
まりなは無意識に祐介の姿を追っていた。
授業中の教室で。
体育の時間の体育館で。
廊下で。
けれど、彼は気づくとすぐに目をそらし、まるで避けるような仕草を見せる。 ト書き
まりな(心の声)(……なんで?)
まりなの胸が少しチクリと痛む。
一方、祐介も気づいていた。
まりなの視線がやたらと自分に向けられていることに。 ト書き
祐介(心の声)(……なんでアイツ、俺のこと見てんだ?)
これまで数年間、ほとんど接点がなかった幼なじみが、突然こんなにも自分を見つめてくる。
その視線が、何かを確かめるような、探るようなものに感じられ——妙に落ち着かない。
祐介は腕を組み、まりなの行動を警戒し始めた。 ト書き
祐介(心の声)(あいつ、何か企んでるのか……?)
〇 学校・校門前(放課後) 柱
夕暮れに染まる校門前。
まりなと祐介は偶然、二人きりになった。 ト書き
まりな(心の声)(話しかけるなら今しかない……!)
まりなは意を決して、祐介の肩を軽く叩いた。
まりな「ちょっと、祐介……」 セリフ
祐介「……なんだよ」 セリフ
祐介の目が冷たい。
まりなの胸がギュッと締めつけられる。 ト書き
まりな(心の声)(前はあんな話し方しなかったのに……)
まりな「えっと……その……」 セリフ
何を聞けばいいのか、どう聞けばいいのか、まりなには分からなかった。
でも、知りたかった。
——この記憶の正体を。
——そして、祐介が何を思っているのかを。 ト書き
まりな「昔、私たち——」 セリフ
祐介「悪いけどさ、今更話すことないんだけど?」 セリフ
突き放すような祐介の言葉。
まりなの心が、一瞬で冷えていく。 ト書き
まりな(心の声)(……そっか。やっぱり、嫌われてるんだ。)
まりな「……そう、だよね。ごめん」 セリフ
まりなは力なく微笑み、後ずさろうとした——その瞬間。
まりな「……っ!」 セリフ
頭の奥がズキンと痛み、夢で見た記憶がよみがえる。
そして——思わず口をついて出た。 ト書き
まりな「あなた、約束したよね?……“俺が絶対に守る”って——」 セリフ
祐介の目が驚愕に見開かれる。
まりなも、自分の口からこぼれた言葉に息をのむ。
——今、自分は何を言ったのか。
——なぜ、それを知っているのか。 ト書き
風が吹く。
二人の間の距離が、一瞬で縮まったような気がした。 ト書き
——次話へ続く——

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