だから、あたしは
「忠告しとくぞ。口の悪い先輩に帰れーと言われたからって本気にして帰るなよ。死ねと言われたなら、すみませーん、と謝ってやり過ごせばいい」
「反省しているフリをしていれば彼等は満足するのね?」
「それと……、偉大なるエースの機嫌を損ねるなっていうのが暗黙のルールなんだよ。あの人はとにかく気分屋だからな」
「大河内って偉いの?」
「偉いというか、何となく皆が怖がっているんだよ。本田先輩や鈴木先輩でさえも、あの人には一目を置いている」
喋りながらも我々は丁寧にアンダーシャツを洗い続けている。すると、鈴木が鬼の首を取るかのように駆け寄って来て怒鳴り散らしたのだ。
「貴様等、何をヘラヘラと喋っている!」
はいはい、お仕えしたらいいんでじょう! それが、下級生の作法というものなんでしょう。ああ、ウザイ。鈴木なんてこの世から消えてしまえばいいのに。
とにかく、野球部の先輩って面倒臭い。上下関係ってウザい。
翌日のお昼休み。あたしは桃園を中庭のベンチに呼び出すことにした。
話したい事がいるので外でランチを食べようと誘うと意外にも桃園が来てくれたわ。うん。良かった。
「ねぇ、教えてよ。桃園は何で野球部をやめちゃったの?」
「言いたくないよ! おまえの聞きたいことってそれかよ」
偉そうな言い方をされると桃園と話すのが嫌になっちゃう。桃園って何様のつもりなのよ?
あたしはうんざりしながらも問いかけていく。
「ねぇねぇ、騎士は、なぜ鈴木先輩から嫌われているの? 性格もいい。嫌われる理由が分からないよ」
「鈴木先輩は恐れているんだよ。試合に出て騎士が活躍したらショートのポジションを奪われるからね。騎士には実力を付けさせないように雑用をさせているのさ」
とっても悔しそうに桃園が語気を荒らげている。
「嫌な奴だけど、鈴木先輩はマシな方だ。ただ、単に偏屈なだけさ。もっと嫌な奴は他にいるんだよ。優しい菊ちゃんは気付いてないけど、以前、走塁の際に本田がスパイクでわざと菊ちゃんの指を踏んだんだよ! 指が血まみれの菊ちゃんを見下ろしてニヤついていたんだよ」
「それはひどいね!」
「そうさ。指の腱を切って再起不能になるところだったんだよ」
「でもさ、一年で、スタメンで活躍しているのは菊太郎だけだよね」
「菊ちゃんは才能あるんだ。僕は、あの日、必死になってお祈りをしたんだ。僕だけの力じゃどうにもならなかったんだ! 今、思い出してもゾッとする。あんたもきっと餌食になるよ。あんな部に関わるなよな」
「そ、そんなのやってみなくちゃ分からないじゃないの」
「反省しているフリをしていれば彼等は満足するのね?」
「それと……、偉大なるエースの機嫌を損ねるなっていうのが暗黙のルールなんだよ。あの人はとにかく気分屋だからな」
「大河内って偉いの?」
「偉いというか、何となく皆が怖がっているんだよ。本田先輩や鈴木先輩でさえも、あの人には一目を置いている」
喋りながらも我々は丁寧にアンダーシャツを洗い続けている。すると、鈴木が鬼の首を取るかのように駆け寄って来て怒鳴り散らしたのだ。
「貴様等、何をヘラヘラと喋っている!」
はいはい、お仕えしたらいいんでじょう! それが、下級生の作法というものなんでしょう。ああ、ウザイ。鈴木なんてこの世から消えてしまえばいいのに。
とにかく、野球部の先輩って面倒臭い。上下関係ってウザい。
翌日のお昼休み。あたしは桃園を中庭のベンチに呼び出すことにした。
話したい事がいるので外でランチを食べようと誘うと意外にも桃園が来てくれたわ。うん。良かった。
「ねぇ、教えてよ。桃園は何で野球部をやめちゃったの?」
「言いたくないよ! おまえの聞きたいことってそれかよ」
偉そうな言い方をされると桃園と話すのが嫌になっちゃう。桃園って何様のつもりなのよ?
あたしはうんざりしながらも問いかけていく。
「ねぇねぇ、騎士は、なぜ鈴木先輩から嫌われているの? 性格もいい。嫌われる理由が分からないよ」
「鈴木先輩は恐れているんだよ。試合に出て騎士が活躍したらショートのポジションを奪われるからね。騎士には実力を付けさせないように雑用をさせているのさ」
とっても悔しそうに桃園が語気を荒らげている。
「嫌な奴だけど、鈴木先輩はマシな方だ。ただ、単に偏屈なだけさ。もっと嫌な奴は他にいるんだよ。優しい菊ちゃんは気付いてないけど、以前、走塁の際に本田がスパイクでわざと菊ちゃんの指を踏んだんだよ! 指が血まみれの菊ちゃんを見下ろしてニヤついていたんだよ」
「それはひどいね!」
「そうさ。指の腱を切って再起不能になるところだったんだよ」
「でもさ、一年で、スタメンで活躍しているのは菊太郎だけだよね」
「菊ちゃんは才能あるんだ。僕は、あの日、必死になってお祈りをしたんだ。僕だけの力じゃどうにもならなかったんだ! 今、思い出してもゾッとする。あんたもきっと餌食になるよ。あんな部に関わるなよな」
「そ、そんなのやってみなくちゃ分からないじゃないの」