呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
(なんだか、嫌な感じが……)

 背筋に肌寒さを感じた彼女は思わず眉を顰めながらアメリの姿を凝視するが、全身を覆い隠すほどの恐ろしい闇のオーラは見当たらない。

(気の所為、かな……?)

 確証を得られなかった彼女は、抱いた不安をかき消すと――ここにいてもずっとしょうがないと考えたのだろう。
 女性の隣を、並んで歩き始めた。

「オルジェント様が連れている白猫と、いつも一緒にいるんですって?」
「え……? あ、はい……」
「わたくしも最近、黒猫を飼い始めましたの。その子はとても気難しくて……。いつも遊び歩いてばかり……」
「そう、なんですね……」
「ですから! ぜひとも、仲良しの秘訣を教えてほしいですわ」

 女性から猫と仲良くなる秘訣を教えてほしいと言われても。
 イブリーヌには、思い当たる節がまったくと言っていいほど存在しなかった。

 なぜならばハクマは、一般的な動物とは異なるからだ。

(白猫さんが私と一緒にいてくださるのは、陛下に命じられているから……)

 仲がよさそうに見えるのだって、白猫が人間の言葉を話し、意思疎通が簡単に行えることが大きいだろう。
 彼女は苦笑いを浮かべると、曖昧に答えを濁した。
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