呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「私……。ここにいても、いいのでしょうか……」

 イブリーヌの呟きに、亡霊達は明るい声で応えた。

『もちろん!』
『ここ以外に、イブリーヌの居場所なんてないよ!』
『みんなが一緒だから、寂しくないでしょ?』

 その言葉を耳にした彼女は、言葉にできない不安が解消されていくのを感じる。

(この子達と一緒なら……。私は、幸せになれる……)

 亡霊の愛し子と呼ばれた彼女は、いつだって彼らの声が邪魔で、聞こえなくなって欲しいと本気で思っていた。

(けれど……)

 本気で嫌いになれなかったのは――イブリーヌを仲間として受け入れ、愛し子としてたくさんの愛情を注ぎ込んでくれるからだ。

「私には、欲しいものなんて、ありません……」

 亡霊の女王として生まれ変わったイブリーヌは、彼らと一緒なら。
 他には何も、必要としてなどいなかった。

「――リーヌ!」

 ――なのに……。

 どこからともなく聞こえる男性の怒声を耳にしたイブリーヌは、ビクリと肩を震わせて硬直した。
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