呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
 観念したようにペチペチと尻尾で胸元を叩くと、不貞腐れたようにか細い声で呟いた。

『あんな所に戻ったって……傷つく、だけ……。人間を辞めたほうが、イブリーヌは幸せに、暮らせるはずなのに……』

 憤るコクマの身体を優しく撫でつけてたイブリーヌは、黒猫と亡霊達に言い聞かせる。

「どんなに苦しくて、つらいことがあったとしても……。大好きな人と一緒なら、きっと大丈夫です」

 自分を大切に思っているからこその行動だと知っているイブリーヌは、どうして自身を亡霊の女王として目覚めさせたのかと泣き叫ぶことはしない。

「今まで通り……私の成長を、見守っていてくださると……嬉しい、です」

 どこか恥ずかしそうにはにかんだ彼女に、何を言っても無駄だと判断したのだろう。
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