呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
(このままハクマと彼女を残して、食料を調達しに出かけてもいいものか……)

 水と油のような関係である彼らを放置して、トラブルに発展しては困るからだろう。

 オルジェントは彼女を抱いたまま、かなり長い間思案していたが――。
 お腹を空かせたイブリーヌをこのままにしておけば、彼女の衰弱にも繋がる。

(気になる異性をこのままになど、しておけない)

 考えを改めた彼は重たい口を開き、亡霊の愛し子に問いかけた。

「食べたいものは」
「あ、ありません……」
「わかった。すぐに戻る」
「あ、あの……!」
「ここにいろ」

 オルジェントは戸惑う彼女を白猫に任せると、来た道を戻り、食料を調達しに向かった。
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